ラインの仮橋のレビュー・感想・評価
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ドイツ側からも描いた戦争映画
パティシエとジャーナリスト。一見して不釣合いな2人。捕虜になって職業を聞かれたが、二人とも農業と答える。仲良くなり2人とも別の農家で働くことになった。捕虜は女子に近づくことさえ禁止。命に背いた者は禁固刑、場合によっては死刑になるという。
それにしてもフランス語とドイツ語の意志疎通は難しいのであろうことが覗われる。その点は『大脱走』のような娯楽作とは大違いだ。運良く村長の家で奉公することになったペランは優しい家族に恵まれ、人間らしく生きようと努力するが、デュリューは脱走のことばかり考え、農家の嫁を利用しようとする。結局、彼は嫁をレイプしかけたおかげで苦情がきて、ペランと交代させられた。しかし、さっそく村長の娘ヘルガを誘惑。虎視眈々と脱走の機会を覗っていた。森の中、身体を重ね、服を脱がせ・・・・衣服を取ってすたこらさっさ・・・
2年ぶりに恋人の元へ戻ったジャン・デュリュー。そして、ドイツは50~55歳までの男を戦争に動員。村長も徴兵されたため、ロジェは一家の面倒をまかされることに・・・
やがてドイツの劣勢が濃厚になり、デュリューは新聞社社長に、ペランはすっかりドイツの家庭に馴染んでしまった。しかしデュリューの恋人はゲシュタポ将校の愛人だったという事実。ペランは帰っても虚しい日々。ついにドイツへ戻る決心を・・・
2人の男の対比。あくまでも脱走、レジスタンス精神、ジャーナリズム根性。ことなかれ主義、平和主義、の男。どちらが幸せか、幸せになるのか?などということより、叙事詩的に性格を観察する面白さなのであろう。もちろん反戦要素などは感じない。むしろ徴兵に取られるドイツ人家族の悲しみがあるので、当時としては珍しくドイツ側から描いた戦争映画なのかもしれない。
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