「【”老いた喜劇役者の若きバレリーナへの無償の献身”不朽の名曲「eternally」が流れる中、老いた喜劇役者がバレリーナを励まし彼女が舞台で踊る中、自身は息を引き取るラストは何度観ても嗚咽する作品。】」ライムライト NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”老いた喜劇役者の若きバレリーナへの無償の献身”不朽の名曲「eternally」が流れる中、老いた喜劇役者がバレリーナを励まし彼女が舞台で踊る中、自身は息を引き取るラストは何度観ても嗚咽する作品。】
■これだけの名品であるので、内容は簡潔に記す。<Caution!内容に触れています。>
だが、今作を観ているとチャップリン演じる且つては名喜劇役者だったカルヴェロは、どう見てもチャップリンを想起させられる。
初めは、自殺を図った失意のバレリーナ、テリー(クレア・ブレーム)を自宅で休養させ、彼女に励ましの言葉を掛けながら看病するカルヴェロ。
彼は、傷心のテリーに様々な言葉を掛け勇気づけるが、一番印象的な言葉は”生きていく事は美しく素晴らしい。”と言う台詞であろう。
そして、バレリーナとしての素質を開花させていくテリーに対し、且つての栄光が遠ざかって行くカルヴェロとの対比。
それでもテリーは命の恩人であり、自身の人生の道を拓いてくれたカルヴェロへの思慕から、結婚して欲しいと願う。
だが、カルヴェロはテリーが貧しい店員だった時に健気に援助した音楽家を目指すネヴィル(シドニー・チャップリン:今作には、チャップリンの子供達が多数出演している。)が成功し、彼がテリーの事を想っている事を知り、静に身を引き大道芸人として暮らすのである。
そんな時に、偶然カルヴェロに再会したテリーは、もう一度彼を舞台に立たせるために手配し、カルヴェロも禁じていた酒を一杯呷り舞台に出て、蚤の芸や相棒(バスター・キートン:変わらず、無声を貫いている。)との息の合ったコンビ芸で場内を沸かすのである。
この時のチャップリンの片足がドンドン短くなって行く芸は、幼い時に観て強烈に印象に残っている。
そして、大技の舞台から転がり落ち、大太鼓の中に嵌るシーンで彼は心臓発作を起こし、舞台の袖で、メイン舞台で美しく舞うテリーの姿を見て、息を引き取るのである。
<今作は、チャールズ・チャップリンの原点回帰作であり、且つ集大成の一作である。
偉大なる喜劇王の数々の名作の中でも、哀愁を帯びながらも人間の善性を見事に謳いあげた作品であると、私は思います。>