「毒牙」歓びの毒牙(きば) かもしださんの映画レビュー(感想・評価)
毒牙
当時、西ドイツの映画産業は疲弊しており、作品製作をイタリアに頼りきっておりました。
そんな中、新たに白羽の矢が当たったのがダリオ・アルジェント!
とてつもない作品を引っ提げ華々しいデビューを果たしました。
その作品がこれ😂。
本作はフレドリック・ブラウンの推理小説「通り魔」がベースになっています。
この一冊の小説を譲った人物こそ同イタリア監督のベルナルド・ベルトリッチ。
自らも映画化を目論んでいたベルトリッチだったのですが、デビューの決まったアルジェントに委ねたそうです。
しかし、作品の映画化権が高価だった為、アルジェントは小説の骨格だけを利用し、本作の脚本を膨らませていきました。
こうして出来上がった本作ですが、とても小説を元に書いた脚本が主軸になっているとは思えない映像表現のオンパレードです😓
映像による情報とテクニックだけで物語を進行させる手腕は初監督の域を軽く越えています‼
特に、ガラス扉に挟まれ身動きを封じられ、為す術もない主人公が、最初の事件現場を目撃するシーンは実に映画的‼
他の表現媒体では絶対お目にかかれない代物です‼
また、撮影に対する最新技術への関心も高く、犠牲者の喉の中へカメラが入っていくショットでは医療用の胃カメラまで導入しておりました😅
かなり吃驚できるショットです(笑)
この様に映画的表現に満ち溢れた傑作なのですが、会社側は難色を示したそうです😨
「もっとヒッチコックばりにしろ❕」
と、怒鳴るプロデューサー😓
言うに事欠いて、そりゃないでしょ💦
と言いたくなる様な台詞ですよね😢
ハウダニット(いかに殺すか)に拘ったアルジェントに対して、フーダニット(誰が殺したか)に拘る作品を作れだなんて無理❕
しかし、公開して事態は一変。
地方での口コミも手伝って、映画はヒット❕
米国でもかなりの興行成績を弾き出したのです😂
こうした結果を受けて、口をつぐんだプロデューサー。
ところが、周りの映画製作者達が口々に騒ぎ始めました。
「あれと同じ作品を撮れ❕」
……😓
こうして、殺し方に拘るイタリア産ミステリー、ジャーロの骨子は出来上がったのです😅
70年代イタリアで大量生産されたジャーロが80年代のスラッシャー映画に多大な影響を与えました。
その礎にアルジェントが加担していると思うと少し複雑です😅
ともあれ、レンタル店では軒並み、中古売買の対照作品にされてしまっているので見つからないかもしれないですが、偶然眼にして、手に取る余裕のある方は一度ご覧になっては如何でしょうか。
但しミステリーファンはNGですよ😅