「この空気感に浸る」欲望の翼 TSさんの映画レビュー(感想・評価)
この空気感に浸る
じめっとした部屋。汗、雨、闇。
けだるさ。
若い男女の恋愛模様。
台詞に意味はあっても、ストーリーは問題じゃない。
この映画が纏う空気感に浸れるかどうか。
汗ばむ部屋では投げやりになる。
雨に打たれれば自暴自棄になる。
夜道を歩けば打ち明け話もする。
継ぎ接ぎのようにつなぎ合わされた場面場面。どこかに自分も引っかかる場面がある。
そして、自分が何故マギー・チャンのことが好きなのか、この作品を観て分かった。とても個人的な過去の経験が呼び起こされた。
自堕落なのに女を惹きつけるレスリー・チャンの不思議な魅力とアンディ・ラウのキリッとした二枚目ぶり。
でも最後のトニー・レオンはずるいと思う。え、何?とぐっと身を乗り出して見入ってしまった。そしてやたらとタバコの箱をしまうのに笑ってしまった(笑う場面でないのに)。
もう今では絶対撮れない画。出せない空気感。
そしてまた、花様年華を観たいと思ってしまった(スーに会いたい)。
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