「ウディ・アレン式ギリシャ喜劇…邦題は外してるけど…」誘惑のアフロディーテ もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
ウディ・アレン式ギリシャ喜劇…邦題は外してるけど…
①70年代後半~80年代はベルイマンを意識していたように思うのだが、本作はフェリーニ・タッチ?
②映画がコロスの登場シーンから始まった時は?という感じだったが、今回はギリシャ悲劇/喜劇がベースになっていることをコロスに進行役を務めさせることで問わず語りに言いたかったのかな。
でも、その趣向が正しかったかどうかは最後まで疑問で、それで点数を少なくしてます。
③ギリシャ悲劇と言えば、親子・夫婦・恋人たちが、運命の皮肉に翻弄されて、親殺し・子殺し・近親相姦・嫉妬・復讐といった悪業の数々を複雑な関係の中で繰り広げるという話が多い。
本作でも、ウディ・アレン扮するレニーが半ば強迫観念的に養子の実母探しを始めたことから、親子・夫婦・男女の関係がねじれ始めるが、ねじれた挙げ句ハッピーエンドになるという皮肉な展開になる。
コロスのリーダーが言う通り、“人生は皮肉に溢れている。奇想天外で悲しくすばらしい”という台詞がピッタリ。
④ウディ・アレンの映画は、これまで登場人物一人一人の内面を掘り下げるような映画が多かったが、本作ではその掘り下げが浅くなっているようだ(表面だけなぞっているという意味ではない)。
個人個人に光を当てるより群像劇にして、人間と人間社会の有り様を俯瞰的に描く作風への転換点かな?
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