「“カイザー・ソゼ”が頭の中でリピートされる」ユージュアル・サスペクツ 和田隆さんの映画レビュー(感想・評価)
“カイザー・ソゼ”が頭の中でリピートされる
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この映画のエンディングを見終えてからというもの、似たような設定やキャラクターが映画やドラマに出てきた時、もしくは実生活においても裏で何か得体の知れない大きな力が働いているのではないかと感じた時などにふと思い出す名前があります。それほどブライアン・シンガー監督のクライム・サスペンス「ユージュアル・サスペクツ」(1995)のラストに鳥肌が立ちました。
その巧妙なストーリー展開と演出をさらに魅力あるものにしているのがキャストです。クセのある前科者5人を演じた、ガブリエル・バーンの渋み、スティーブン・ボールドウィンとベニチオ・デルトロのキレ味、ケビン・ポラックの狂気、ケビン・スペイシーの不敵な笑みが相乗効果を発揮。さらにチャズ・パルミンテリ、ピート・ポスルスウェイトらが脇を固めていて、彼らの絶妙な演技の応酬が、この映画のもう一つの見どころです。
なかでも物語の語り手であり、左側の手足が不自由で気弱な詐欺師のヴァーバル・キントを演じたスペイシーは、この演技により第68回アカデミー賞で助演男優賞を受賞しました。(※スペイシーは、2017年から告発が相次いだ性的暴行疑惑のため現在は主だった俳優活動を行っていません)
キントが語る出来事によって事件が次第に明かされていきますが、その中に出てくる、実在しないとも言われる伝説のギャングの名前が“カイザー・ソゼ”なのです。
まるでパズルを組み合わせていくような面白さがあるのですが、次第にキントが語る話はどこまでが真実なのか、映画を見ながら組み合わせていたパズルが果たしてあっているのか、見終わった後に自分の頭の中で組み直すことになるかもしれません。
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