「口達者なマティと大酒飲みのコグバーン」勇気ある追跡 多田納人さんの映画レビュー(感想・評価)
口達者なマティと大酒飲みのコグバーン
1969年公開の西部劇「勇気ある追跡」を見ました。
監督はヘンリー・ハサウェイ、音楽はエルマー・バーンスタイン。
主演のジョン・ウエインは本作で初めてアカデミー賞主演男優賞を獲得しました。
また、2010年には原題の「トゥルー・グリット(本当の勇者)」でリメイクもされています。
農場を営むフランク・ロスは買い付けの旅の途中、同行していた雇い人のトムに殺される。
しっかりものの娘のマティ(キム・ダービー)は、復讐するために連邦保安官である片目の大男コグバーン(ジョン・ウェイン)を雇い、テキサス・レンジャーのラ・ボーフ(グレン・キャンベル)と3人で先住民地区へ向かった。
道中は男たちの意地張り合いで決して楽な旅ではなかったが、マティたちはやがてトムを発見。
だがマティはトムに捕まってしまい、救出に向かったラ・ボーフは撃たれ、コグバーンの突入でなんとか奪い返すもラ・ボーフは撃たれて死んでしまう。
マティも銃で父親の形見の銃で反撃するが、反動でヘビの巣窟の穴に落ちてしまう。コクバーンは毒蛇に噛まれて意識のないマティを担ぎ、医者の元へ必死に馬を走らせ、なんとかマティは命ひろいするのだった。
なによりマティのキャラクターが素晴らしい。
キム・ダービーは小さいキャサリーン・ヘツプバーンみたいです。
「しっかり者」というよりそれを通り越して嫌味なほど口が立ち、大人を理屈でヘコませてしまうほどの達者ぶり。この辺のユーモラスな感じが、字幕ではイマイチ表現されておらず、残念。
そのマティに尻を叩かれてイヤイヤ同行するハメになるコグバーンがまたよろしい。
酒好きのコグバーンがこのじゃじゃ馬娘に手を焼きながらも、まるで孫娘をみるように接して旅を続けるそのコメディタッチの珍道中がこの映画の魅力ですね。
父親の復讐譚が暗い話にならないのもいい。
西部の風景もすばらしく、音楽良いのですが、レバーアクションのライフルを片手でくるっと回して装填するジョン・ウェインの恰好いいこと。ジョン・ウェインの魅力に溢れた一作です。
