柔らかい肌(1964)のレビュー・感想・評価
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悲しい中年男
ヒッチコック風と聞いていましたが、ところどころ、ヒッチコックへのオマージュがあり、隠れてこそこそする浮気がサスペンスタッチになってました。
主人公の男性ピエールは下心ありありで、キャビンアテンダントのニコールを食事に誘い、深い関係になっていくのですが、ピエールがニコールに振り回されるところが可笑しいです。ニコールはといえば、自分のペースは全く崩さず淡々と生きているのに、ピエールは右往左往しながら、とにかく、二人の関係を継続させるのに忙しい。大の男がストッキングを買うところも笑えます。ピエールが妻と離婚するという瀬戸際にあるというのに、ニコールは他人事みたい。
ストーリーとしては単純かもしれませんが、その騒動が多少、コメディタッチで進むので楽しめます。
ピエールは安定した生活を不意にしたばかりでなく、奥さんに銃でとどめを刺されて終わり。
La peau douceは邦題のとおり「柔らかい肌」。
このタイトルの意味は? 触れている時は柔らかくて心地いいけど、この一時の快感が不幸をもたらすってことでしょうか。「きれいな花には毒がある」みたいな感じで。
なぜか さり気なく 怖い
ヒッチコック風タッチとのことだったらしいが、そんなこと知らないで観たら、最初から最後までなんだか怖かった。
地方の講演先で催された会食の面子も、子守の女性も、電話ボックスで長電話する女性も、なぜかみんな怖くみえてきてしまう
この作品では、結末を除けは、子どもを持つ夫婦の日常と、男の側の不倫の過程が淡々と描かれているだけだ。でも、そこには幼稚で希薄な人間関係がある。そのうちなにか起こりそう、この意思疎通の希薄さではうまくいくはずがない、と予感させる。
表面ニコニコして生活していても凶暴性は秘められていた。きちんと理解し合っていない、ということが恐ろしい結果をもたらす。一人前の顔をしていながらも中味は幼稚な男は問題解決能力を持たない。
妻の女ともだちはわりとまともで、仲直りの電話をかけることを勧める。が、すでに遅かった。彼女に言われなくてもそうしようとする発想や積極性は夫にはなかった。
妻は、夫を愛しているからこそ殺したのか、それとも自尊心が許さなかったのか?どちらにせよ彼女の選択もまた自己中に感じる。
コミュニケーションが希薄な現代人、何を優先させるかという価値観の整理もできない現代人、その閉鎖性や幼稚性。
この映画 の恐ろしさ はそういう恐ろしさであるような気がする。
Nicole MED 59-04
若く美しいキャビンアテンダント、ニコル( フランソワーズ・ドルレアック )に心を奪われる文芸評論家ピエールをジャン・ドザイーが演じる。妻子あるピエールに言い寄られ、ニコルは交際を始めるが…。
それぞれの想いが微妙にズレ始め、自分本位に感情をぶつけ合う姿がリアルで目が離せなかった。
スレンダーで目元が印象的なフランソワーズ・ドルレアックが、カトリーヌ・ドヌーヴの姉であり、25才という若さで車を運転中の事故で亡くなられていた事を鑑賞後に知り驚きました。
ー高輪プリンス、悪くない
ー日本の美術店、浮世絵、藤田の絵
BS松竹東急を録画にて鑑賞 (字幕)
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