「なぜか さり気なく 怖い」柔らかい肌(1964) あま・おとさんの映画レビュー(感想・評価)
なぜか さり気なく 怖い
クリックして本文を読む
ヒッチコック風タッチとのことだったらしいが、そんなこと知らないで観たら、最初から最後までなんだか怖かった。
地方の講演先で催された会食の面子も、子守の女性も、電話ボックスで長電話する女性も、なぜかみんな怖くみえてきてしまう
この作品では、結末を除けは、子どもを持つ夫婦の日常と、男の側の不倫の過程が淡々と描かれているだけだ。でも、そこには幼稚で希薄な人間関係がある。そのうちなにか起こりそう、この意思疎通の希薄さではうまくいくはずがない、と予感させる。
表面ニコニコして生活していても凶暴性は秘められていた。きちんと理解し合っていない、ということが恐ろしい結果をもたらす。一人前の顔をしていながらも中味は幼稚な男は問題解決能力を持たない。
妻の女ともだちはわりとまともで、仲直りの電話をかけることを勧める。が、すでに遅かった。彼女に言われなくてもそうしようとする発想や積極性は夫にはなかった。
妻は、夫を愛しているからこそ殺したのか、それとも自尊心が許さなかったのか?どちらにせよ彼女の選択もまた自己中に感じる。
コミュニケーションが希薄な現代人、何を優先させるかという価値観の整理もできない現代人、その閉鎖性や幼稚性。
この映画 の恐ろしさ はそういう恐ろしさであるような気がする。
コメントする