劇場公開日 2022年6月24日

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「無声映画のようなスタイル」野性の少年 naokiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5無声映画のようなスタイル

2025年1月20日
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鑑賞方法:映画館

単純

知的

映画を観るポイントとして撮影監督つながりで観る事もあります。前に観た「恋のエチュード」の撮影監督ネストール・アルメンドロスが初めてトリュフォーと組んだ「野生の少年」
実は私この映画は長らくスルーしてたわけで・・・なんか地味そうだなと思い😅
トリュフォー監督が自ら主演て(自主映画かよ!)しかし今回観て結構良かったです。
監督の演技が自然で何の違和感も無かったです。
冒頭に「ジャン・ピエール・レオに捧ぐ」のテロップからデビュー作「大人はわかってくれない」からの系譜だという事が分かります。また、この映画からスティーブン・スピルバーグ監督「未知との遭遇」(トリュフォーが博士役で出演)やテレンス・マリック監督「天国の日々」(撮影監督がアルメンドロス)への橋渡しがされたのは興味深いです。
映像は初期の無声映画の巨匠DW・グリフィスを思わせる白黒映像で画面が黒くなるフェードアウトや映像を丸い形に切り取る手法もあり遊び心があります。
変に感動ものに持っていかず野生の少年ビクトールを見せ物にする大人も出てきたりします。
ビクトールに文字を教える過程はトリュフォー映画ならではです。あぁハンマーはmarteauというのか、こちらも勉強になります🧐
音楽はビバルディのマンドリン協奏曲が使われており、トリュフォー映画の常連でもある作曲家ジュルジュ・ドリューに共通するものがあります。たぶん彼はバロック音楽の影響を受けておられるのでしょう。
この映画は観る人によっては物足りないかもしれませんが(終わりかたの事・・・普通ならテロップ出すところが説明一切なし)
私は好きなトリュフォー映画の一本となりました。

naoki