モロッコのレビュー・感想・評価
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【"戦地に赴く男が机に刻んだ”My Love"という文字。"今から90年以上前の作品を観れる僥倖さと共に画質が粗い中、際立つマレーネ・ディートリッヒの妖艶な美貌が印象的な美意識が横溢する作品。】
■外人部隊に軍属するトム・ブラウン(ゲイリー・クーパー)は、モロッコで酒場の歌手、アミー・ジョリー(マレーネ・ディートリッヒ)と恋に落ちる。するとトムと関係の在った上官の妻とトラブルに。
その後、トムはサハラの前線に送られ、アミーは富豪ベシエールの求婚を受けいれるのだが、彼女の元にトムが重傷を負ったという知らせが届く。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・全編、粋な雰囲気が横溢する作品である。
・トムは強がって、愛するアミー・ジョリーを置いて前線に赴くが、そんな彼を追っていくアミー・ジョリーの姿。
・そして、砂漠の中、旅立つトムを追ってアミー・ジョリーは逡巡しつつも、富豪ベシエールを抱きしめた後、彼を再び追うのである。
<戦地での男女の愛を美意識をベースにして描いた作品。重ねて書くが妖艶な美貌を誇るマレーネ・ディートリッヒの姿に魅入られる作品である。>
suiside passenger
とても旧い作品だが画や衣装がとても優美で、割と衝撃的な男装シーンを含めマレーネ・ディートリッヒがとても魅力的で、この作品で人気が出たのも納得だった。
過去に訳ありの男女が最果ての地モロッコで出会い惹かれ合う。歌姫である女は裕福で心優しいパトロンに見初められ求婚される。貧しい一兵卒である男は女の幸せを思い身を引く。訳を知らない女は男に嫌われたと思いパトロンの求婚を受け入れるが、偶然男の本心を知り、男との愛に生きることを決意する。
砂漠のディートリヒ
Amazonプライムの限界画質で吹替版を鑑賞。
溜めて溜めてラストにドーン!となるタイプの映画は印象的で、のちに傑作と言われる作品も多い。
ただしこの「ドーン!」が唐突に見えないよう前振りしつつ、あまり手前でネタが割れない、ってのはなかなか至難の業だと思うわけです。
これも途中まではなんかたるいなぁ、間伸びしてる?などとナメていたのですが、ラスト近くで前半の何気ない場面がよみがえり「もしや、まさかあのシーンは…?」などと予感しはじめ、案の定ドーン!となったので一挙に持っていかれました。
ロバ to ロバ。なるほどねぇ。
これで90分くらいなので、そんな複雑な話ではないけどよくできてるなぁ。
「上海特急」「間諜x-27」と同じ布陣シリーズ。
ディートリヒはモロッコでは高級な方のパブで歌うドサ周り芸人的な役。男を手玉に取る魔性の美女のように見えて実は…というのがこれまでと一貫したキャラクター。
私生活ではまあまあな毒親だったりリアル魔性な部分もあったみたいですが、歌う場面も含めてスクリーンの中ではあくまで優雅でうっとり。。
古典として見ておくべき
今から見れば、まったく古い男女観かもしれないし、オリエンタリズムもあるんだけど、それでもなお古典的名作としての価値は色褪せていない。
1930年に制作されたこの映画は、これからも古典として残っていくはずだし、映画ファンなら見ておくべき一作だろう。
映画はシャシンです
映像、構図が素晴らしい。オープニングからラストまで静止画にして壁に飾りたいような場面が目白押しです。筋やテーマもいいけど、やはり映画は映像の素晴らしさが第一、と教えられる作品です。
しかし、ディート君の気だるそうな雰囲気は圧巻ですね。
金持ちの紳士から求愛されて微妙な感じになった二人。 全部お見通し、...
金持ちの紳士から求愛されて微妙な感じになった二人。
全部お見通し、全てを受け容れつつ「アミーを愛してる。彼女の為ならどんな苦労もいとわない」と言うベシエールの存在は★5。
ラストに向かっての25分間くらいが凄い良かった。
高価な贈り物を見つけて「気が変わったよ」的なルージュの伝言。
ホフフーッツと煙を吐き出すアミー。
進軍ラッパが聴こえてきて、真珠がバチン!ズッシャー。無理やりモロッコ話をしだす友人のオッサンの気遣い。二人だけにしようと金持ち仲間が席を離れようとするのを制止するベシエール。後半はとにかくベシエール。正々堂々としていて、なおトムブラウンを気遣うなどの紳士ぶりに心底感服した。
「嘆きの天使」とセットで製作?
ジョセフ・フォン・スタンバーグ監督の
前作「嘆きの天使」では、
社会的地位を失い、
ヒロインに愛想を付かれた教授の悲劇的最期
を描いたが、
この映画ではヒロインが
相手の社会的地位よりも感情を優先して、
明日をも知れぬ兵士を追う。
女性の男性の社会的地位への
信望の扱いとしては逆だ。
スタンバーグ監督によるこの2作品は
連続しての製作のようだ。
監督はこの2作品セットで、
男女の情感に社会的地位性を絡め、
逆転構図の中で描こうとしたのだろうか。
親父が好きだったディトリッヒ。お袋が好きだったクーパー。
映画のラストシーンで幾通りもの物語を想像するのが好きだ。
この後、二人はどうするのだろう・・・トムが戦死したらどうなるだろうとか、次の街で脱走して二人でカサブランカに行きボガードに助けられてアメリカに行くだとか、他愛もない想像を楽しんでしまった。
いずれにしてもディトリッヒのシルクハットは宝塚歌劇団に受け継がれたけれど、ゲーリー・クーパーのいやらしい物腰はこのころ培われたのだろうと妙な納得の仕方をしてしまった。そう、若年期の男には愛嬌が備わっていたないと役者としては大成しないのだと感じ入ってしまった。大人の恋は面倒なことだらけだけれどホンモノに出会うのだ。その時、どうするのか?
まあ、今夜ゆっくり考えよう。
日本初の字幕スーパー映画。
キャバレーで歌うディートリッヒ。シルクハットを被り煙草を吸うシーンはあまりにも有名で、このショットを見るだけで感動できる。過去のある女。簡単に恋に落ちるには経験を積み過ぎていると思うのだが、やはりどこか弱々しさがあるのだろうか・・・リンゴを売るときに「おつりよ」と言って部屋の鍵を渡すのだ。
前線に送られたトム。一時は一緒に脱走しようと持ちかけたのだが、彼女が楽屋を出たとき、鏡に“I changed my mind.Good luck!”と書き残し去ってゆく。そして、船で一緒だった富豪のベシエール氏(マンジュー)に求婚されるアミー。承諾して婚約パーティを開くが、副官セザールが戦死したというニュースが飛び込んできて、気が気でならないアミー。遠征隊も期間するが、彼の安否を確かめたく、ベシエールと共に前線へと駆けつける。
「あの富豪と結婚するのか?」「I don't change my mind」。借金だらけのトムの小ネタなど、台詞も面白かったりする。そして、2人の交わす二本指での挨拶。机にナイフで刻んだ自分の名前を発見するときのディートリッヒの表情。そしてラストではサハラ砂漠を行軍する部隊の後を追うアミー。ハイヒールを脱ぎ棄てて、黙々と歩く・・・
ストーリーはたいしたことないけど、ディートリッヒの決めポーズが全ていい!有名なシーンを一つずつ宝箱にしまっておきたいような映画かなぁ・・・あと、マンジューの心の広い性格は安らぐな。ゲイリー・クーパーよりも完全にいい!
大きな影響を多くの作品に与えた名作
モロッコはスペインのジブラルタル海峡を挟んだ対岸の戦略要地で、古くから戦争が絶えない
1930年頃はフランス領となり外人部隊という傭兵が戦っていた
舞台はカサブランカから海岸沿いに南西に350キロ下ったモガドール、現地の貧しい人々が暮らす街にヨーロッパから食いつめたり訳ありの人間が吹きだまる
その植民地経営でフランス本国から大金持ちもやってくる
外人部隊は所詮吹きだまり、兵隊達の過去は何をしていたか知れたものではない
本作はマレーネデートリッヒの出世作として有名だ
見所は三つ
一つ目は彼女がキャバレーでシルクハット姿で歌うシーンで、超有名
二つ目は、ゲイリークーパー演ずる兵隊が部隊と共に街をでて行くシーン
彼を諦めたはずの彼女が外人部隊の鳴らす鼓笛隊の行進小太鼓の音にいてもたってもいられなくなり、席をたった瞬間、金持ちから貰った真珠のネックレスが切れて散らばるシーン
いくら金の力で縛っても、真の愛によって吹き飛ぶことを表現してみせた監督と彼女の演技が合わさった名シーンだ
そして最後は、ラストシーン
今度こそ最後の別れと街を出て行く部隊にふらふらとついて行ってしまうシーン
砂漠の先を進む外人部隊の男を追う現地の女に混じって裸足で追いかける
行進の小太鼓の音が遠ざかり、砂漠を吹き渡る風の音だけがする
このシーンで本作は伝説になったと思う
監督の演出、単なる女に堕ちた彼女の演技のすばらしさ
これこそ映画だと思う
デートリッヒは自分がいい女だと知っている
あらゆる仕草が男の気を引く事を知っている
それはこの役だけではなくて、本人がそうなのだ
他の女はとても彼女にはとても張り合え無いことをたちどころに悟る
演技を超えた説得力がそこにある
そんな女がラストシーンでは蔑みの目で見ていたはずの外人部隊の男を部隊を追いかけてついて行く女達と同じになってしまうのだ
そしてゲイリークーパー
何もしなくても女の方から寄っていってしまう男そのものを演じきっている
しかも、どうせろくな過去を持たないことも
彼女の人生を思い、やせ我慢をして彼女を捨てる
これもまた素晴らしい説得力がある演技だ
中盤少しダレるが、前半、終盤は正に名作
本作はカサブランカ、情婦マノンなど多くの名作に影響をもたらしたと思う
マレーネ・デートリッヒの眼差しと声が魅惑的。ラストの砂漠を歩いてい...
マレーネ・デートリッヒの眼差しと声が魅惑的。ラストの砂漠を歩いていくシーンが美しくも切なくいつまでも残像として脳裏に刻まれている。
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