モード家の一夜のレビュー・感想・評価
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ロメール、さすが上手い!
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脚本、キャメラ、役者、もちろん演出、全て良し!
こういう題材は下手すると、退屈になるけど、台詞回しや、小気味好いテンポの編集、それに役者たちの上手さで、自然に全体がスムーズに流れていく(ちょっとした沈黙の間もイイ)。
モードの家での室内劇は本当に秀逸だ。
ちなみにモードはラストネームでなく、ファーストネームのはず。
よって邦題は「モード家の一夜」でなく「モードの家での一夜」でないと。
あるいは英語版そのまま「My Night at Maud’s」でも良かったかも。原題の仏語の方が読めなくても、英語なら皆んな分かるでしょ。
それにしても、あの「パスカルの賭け」をテーマにしているのに、この軽やかさは本当に素晴らしい。
あの品の良さは一体なんなんだろう。
もちろんパスカル自体に信仰心をバックグランドにした品の良さはあるが、この作品の抑制の効いた(必要以上にテーマが台詞に現れて来ない)脚本の見事さ、役者たちの芝居の良さ、そしてなんと言っても撮影を担当したNéstor Almendrosの手腕が多分に大きいのだと思う。
久々に美しいモノクローム映像を全編を通して観ることが出来た。ずっと自分の部屋で流しておきたいくらいだ。
全体のクリスマスシーズンから一転してラストは夏のバカンスというのも、実に上手い。
個人的にも随分と昔に読んだ「パンセ」の印象は主人公と同様だったが、また久々に読んでみたくなった。
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