ミュージックボックスのレビュー・感想・評価
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「ソフィーの選択」と双璧の究極の選択映画!
私にとって1990年のロードショー以来、
レンタル鑑賞も出来ないでいた幻の映画
だったが、最近になって
何故か新作としてビデオリストに
加わったので、ようやく観ることが出来た。
再鑑賞だったので結末は判っていたが、
改めて心を強く揺さぶられた。
コスタ=ガヴラス監督作品の中では
私のNo.1だ。
そして私の数少ない🌟5つ投稿作品にも。
戦争により究極の選択を強いられる映画
としては、選択の内容こそ異なるが
「ソフィーの選択」と双璧の作品だ。
サスペンス的構成も素晴らしく、
全般において“父は怪しい”との展開に終始
させておいて、
終盤に一度それを否定して、
最後の最後に再びひっくり返す
という展開は見事と言うしか無い。
これ以外でも、あまりにもの上手い構成に、
再鑑賞で結末を知っていながらも、
オルゴールから写真が出てくる場面には
胸が締め付けられる思いだったし、
検事局への告発の手紙をしたためた後の
最後の母息子のベンチシーンには
涙が止まらなかった。
父が真実を告白して娘に許しを請うていたら
彼女の対応は変わっただろうか等、
様々な想像が頭を駆けめぐる。
そして、この母息子の将来を考えると
心穏やかではいられない描写でもあった。
社会的正義を行ったとしても、血筋として
将来に渡って背負うことになるトラウマ
はいかばかりであろうか。
“情に棹させば…”的な日本人だったら、
秘密を抱えたまま、
だましだまし生きていく道を選択しそうだ。
しかし、辛い中でも個人的な情よりも
社会正義を優先するアメリカの大義の前に、
日本は国家として太刀打ち出来るのかと
考えさせられる映画だ。
2023.2.28追記
同名の小説版(“原作”とは異なる、
映画と平行して作られた作品の模様。
アーサー・C・クラークの「2001年宇宙の旅」
のようなものか)を読んだ。
それなりの長編なので、より詳細に
主人公の苦悩に触れていた印象だった。
更に、主人公が父に大切にされて育った経緯
が事細かく描かれたのと、
主人公が最終盤でのミュージックボックスを
開けるよりも前の段階で、父の犯罪を
感じさせられていた場面も多々あった。
しかし、改めてこの詳細な内容を
的確に2時間にまとめたコスタ=ガヴラス監督
の力量を再確認出来る機会を頂いたような
気がした。
たくさんの人にもっと観てほしい映画
社会派の映画の第一人者、コスタ・ガヴラスの代表作の一つ。
父親の冤罪を晴らす為に法廷に立つ女性弁護士が、次々に現れる父の罪状にうろたえながら、真偽を暴こうとする姿はとても見応えがあります。
第二次大戦時のハンガリーのユダヤ人虐殺を主題にしているが、日本人または様々な国の人間としても我が事として当てはめて観た時、ゾッとするような思いに駆られる映画と思います。
2時間のストーリーに魅せられるだけじゃなく、その後の考えに影響と啓発を与える、たくさんの人に観て欲しい映画です。
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