緑の光線

劇場公開日:

解説・あらすじ

エリック・ロメール監督による「喜劇と格言劇」シリーズの第5作。愛と幸せを求めてバカンスに出かけた孤独な女の旅を、生き生きとした会話と美しい映像で描き、ベネチア国際映画祭で金獅子賞に輝いた。秘書として働くデルフィーヌはギリシャでのバカンスを楽しみにしていたが、一緒に行くはずだった女友だちにドタキャンされてしまう。友人に誘われて南仏へ出かけたものの、周囲になじむことができずひとりでパリへ戻る。その後、ひとりでビアリッツの海を訪れたデルフィーヌは、ジュール・ベルヌの小説に書かれた、日没前に一瞬だけ見えるという「緑の光線」の話を耳にする。主演は「飛行士の妻」「恋の秋」のマリー・リビエール。

1985年製作/94分/フランス
原題または英題:Le rayon vert
配給:シネセゾン
劇場公開日:1987年4月25日

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(C)Les Films du Losange/(C)INA,Les Films du Losange

映画レビュー

4.0幸せを求める姿を見つめる温かな視線

2025年4月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

見ていて少し息苦しくなるような描写が続きます。

例えば、太陽降り注ぐ明るい浜辺で、一人本を読んでいるデルフィーヌ。
波の音に混じって聞こえるのは、子供の楽しそうな声や、カップルたちの声で、どこか所在なげ。トップレス姿で海から浜辺にあがってきた北欧出身のリサと出会い、二人で休んでいると、二人組の若い移民風の男たちと目が合い、四人で一つのカフェのテーブルを囲むことになりますが、やはり三人の会話についてゆくことができません・・・。

同じように一人旅なのに、男あさりを楽しむと言い切るリサとはやはり違う。一言もしゃべらないでも、私が望んでいるのはそんなことではないのに・・・、いたたまれない感情の動きが、手に取るようにわかります。

しかし、デルフィーヌに対しても、リサに対しても否定的な視線は微塵もなく、違いは違いのままに。ある意味喜劇的なのですが、その笑いは冷笑ではなく、どこか温かく見守る佇まいがあります。なぜならそれぞれのシーンが美しく魅力的に切り取られているから。「海辺のポーリーヌ」で、アンリ・マティスの絵を基軸に色彩設計を試みた手法はここでも生かされていて、赤、白、青のカラー・パレットが効果的に採用されているように感じました。

インタビュー記事で「デルフィーヌは私かもしれない」と語っていましたが、パーティ嫌いや結婚が遅かった点も含め、昔からどこか資質に私と重なる部分を感じていたエリック・ロメール。主人公に注ぐ温かな視線も多分自分自身に向けたものだったのかもしれない。今はそう思います。

ちなみに、この作品の題名ともなっている、ジュール・ベルヌの小説の主人公は、「日没の瞬間に非常に稀な現象として現れる『緑の光線』を見た者は、自分と他人の心のうちを見通せるようになる」との新聞記事を見て、叔父から薦められた相手との結婚を避け、真実の愛を求めて出会った男性とラスト日没を眺めますが、肝心の緑色の光線を確認する直前に、出会った男性の瞳の中に真実の愛をみつける・・・・というロマンチックなストーリーのようです(^_^)。

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pen

5.0

2025年1月16日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

2回目
1回目より楽しめた

1回目 新文芸坐にて 6/15
終始主人公にイライラした
何度も何度もメソメソと泣いていて
しかも泣き声がちょっと自分に似てて更にイライラした
主人公の行動が言い訳がましく偽善的に感じてそこもイライラポイントだった
しかしラストで男と会話している場面でようやく彼女の立場を分かることができスッキリした

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悠

3.5緑の光線見てみたい

2024年1月28日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

2024年1月28日
映画 #緑の光線 (1985年)鑑賞

ヌーヴェル・ヴァーグで名声を確立したのが最も遅かった #エリック・ロメール 監督作品

恋に恋する女性の理想は高く、昔からの男友達も新たに現われた男性もなんとなく拒んでしまう

緑の光線とは、日没に一瞬見える光のこと

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とし

5.035mmフィルムに刻まれた緑の光線と現在のソフトでは再現出来ない緑の光線

2023年12月24日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

本作を最初に見たのは、15年以上前に、場所も想い出せない都内の地下にあるミニシアターのオールナイト(確か50席以下)

ロメール作品を見るのは遅くて、『夏物語』を2番館で見たのが最初だが、その不思議な面白さに魅了された。

それから再上映されるたびに時間を見つけて映画館で必ず鑑賞する縛りで作品を観てきたが、ここ数年はポツポツとお気に入りのロメール作品のソフトを購入しているが、本作のDVD見た時は、驚きを受けた。
何故かと言うと、ラストの緑光線場面が、ヘンな合成見たいな処理がされており、驚きど同時に自分の見た記憶が間違いなのが!と一瞬思うほどだった。

ネットで調べてみると、どうやらビデオやDVD化して時から一部で問題になっており、出来の悪い合成のような緑の光線の場面は、ソフトにした時に上映フィルムのような緑閃光(グリーンフラッシュ現象)の色にならないので、苦肉の策で今の合成処理に落ち着いたそうである。(検索すると幾つかヒットする)

そして今回の35mmフィルムで上映を待ち、北千住のシネマ ブルースタジオの上映を鑑賞した。

フィルムの状態は傷が多めで、若干の褪色は見受けられるが、古いプリントにしては、問題なく見られる状態で、問題のラストシーンに瞬間的に輝く緑の光線も記憶されていた映像と同じだった。(緑の光線場面は、例えるとフィルムに浅い傷がついて時たま放たれる緑色)

現在出回っているソフトが、再現できない欠陥を抱えている以上フィルムでの上映は、貴重だと思うのと、オリジナルがデジタルで残せない現状については、やはりオリジナルプリント保存の重要性を感じざる得ない。

たまに、フィルム特性の映画や映像を知らないデジタル信者が、フィルムなどの断捨離をほざいているが、ここ30年でどれほどメディアが現れては消えたことか。

作品自体は、ロメール作品としては上位に入るくらいに、刺さる面もあり素晴らしい

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