劇場公開日 1978年2月25日

「第三種接近遭遇を分かり易い見世物映画にしたスピルバーグ監督の優しいメッセージ」未知との遭遇 Gustavさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5第三種接近遭遇を分かり易い見世物映画にしたスピルバーグ監督の優しいメッセージ

2022年3月10日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

この映画の魅力は、まだ未解決の謎とされる異星生命体への人類の期待と直結して、それぞれに想像を巡らせる楽しみ方が出来ることである。原題になっている第三種接近遭遇を体験することと進化する人類の英知への期待は、永遠のテーマとして時代と共に大きくなっている。そこにリアリティがあるのかの科学的根拠は、この映画にはない。これからの人類の進歩を予想した想像の世界の見世物映画として鑑賞すれば良い。(個人的には、何処かに異星人が存在しているかも知れないが、物理的に地球まで到着することは不可能だと思っている)
しかし、この新人監督スティーブン・スピルバーグは、この予想を個人的な愛着を持って娯楽映画に仕上げている。異星人と接触する場面で胸を熱くするように創作されたストーリー。終始一貫してあるものは、スピルバーグ監督の地球人に対する優しいメッセージだった。その為のストーリーテリングが施された脚本の分かり易さと、視覚的な映像の醍醐味が命の映画作品である。円盤を様々な形と色の配列で表現した工夫や、最後の巨大な母艦の威圧感など見所は多い。異星人を地球人とは全く別な、これまでに想像してきた姿で表現しているのも面白い。演出の悪戯で目を引いたのが、砂漠の向こうに二つの発光体が見えるところで円盤の飛来と思わせ、近ずくとそれはただのトラックのヘッドライトだったカットだ。本筋と関係ない映像の遊びに、スピルバーグ監督の茶目っ気を感じる。

   1978年 3月14日

Gustav