スティーブン・キング/マングラーのレビュー・感想・評価
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戦慄! 血を吸う業務用プレス機!!
久々も久々に、勝手にスティーヴン・キング原作映画特集その20!
今回は『悪魔のいけにえ』等で知られるホラー界の巨匠
トビー・フーパ―監督作、『マングラー』をご紹介。
あらすじ。
舞台はクリーニング工場『ブルーリボン』。
その工場の真ん中には、シーツなどを乾燥させて折り畳む為の巨大なプレス機が鎮座している。
ある日、工場で働く若い女性が手に怪我をし、彼女の血がそのプレス機に流れ込んだ。
その日を境に、プレス機の周囲で次々と怪異が発生!
従業員がプレス機に巻き込まれて死んだり、スチームが吹き出して大火傷を負ったり……。
事件を捜査する刑事ハントンはやがて、一連の事件がプレス機そのものの仕業であると気付く。
なんと、人の血によってプレス機に邪悪なものが憑依し、人を襲い始めたというのだ……。
...
ほああ、とんでもないあらすじである。
自宅の洗濯機や食器乾燥機が襲ってきたら、そりゃ実際に起きたら怖いが、想像すると笑えてくる。
まあごくごく身近なブルーカラーの生活に超自然的な存在が介入する点は実にキング的ではある。
こちらは短編集『深夜勤務』の一編『人間圧搾機』(邦題もすげえ)の映画化だが、
元が短編なので、100分の映画にするために本作では相当に話を膨らませてある。
一番大きな追加要素は、ロバート・イングランド演じる邪悪な工場長の陰謀が描かれる点か。
人を人とも思わぬ悪どい工場長と、劣悪な環境で休む間もなく働かされる従業員たち……
という描写には、「利益優先で人間性を無視する現代」という社会的テーマを感じる気がしないでもない。
また、原作では挿話程度の扱いだった冷蔵庫が本編とリンクする形で登場したり、
イヤーな感じで終了する原作ラストのその後も描かれる点は、原作ファンには面白いかな。
えげつなく派手なショックシーンは随所に登場するし、邪悪なプレス機“マングラー”の
クライマックスの“変身”や謎の地下空間での逃亡劇ははなかなかの迫力だ。
また、主人公の刑事ハントン役はテッド・レヴィン、
邪悪な工場長がロバート・イングランド、
とくると……イエス! バッファロー・ビル&フレディ・クルーガーという名殺人鬼2人の対決!
(まあテッド・レヴィンは『ヒート』や『名探偵モンク』
で刑事役を演っているので本作はそっち寄り)
...
けど、まあ、ね……。本作、正直そんなにエキサイティングな出来ではないです。
“マングラー”の大暴れを期待していたのだが、いちばん暴れてるのはその邪悪な工場長さん。
両足のギプスをガシャコンガシャコン鳴らし、ニタニタ笑いを浮かべてセクハラ・パワハラ三昧。
ロバート・イングランドのハイテンションなハッチャけぶりに、逆に“マングラー”が食われとる。
彼の気持ち悪~い怪演を延々と見せられることに乗れるかどうかがミソだ。
あと、クライマックスでは“マングラー”に対してエクソシズムを試みる展開となるのだが、
大の大人が必死の形相でプレス機に怒鳴りまくる画はものっすごいシュールである。
主演陣は一体どんなテンションでこのシーンをこなしたんだろうか……。
謎の新聞記者J・J・J・ピクチャーマン(しらふでつけたとは思えない役名)という
物語上での役割がサッパリわからないじいさんがやたら存在感を放っていたり、
工場長が登場するシーンが長ったらしかったり、色々とバランスが悪い映画という印象。
...
以上!
なんだかんだ原作をしっかり踏襲してはいるし、主演陣の怪演やザッツB級ホラー!な雰囲気は
楽しめるので、その手の映画が好きな人には割とオススメかしらん。
けどまあ、全体的には冗長な出来かなあ。個人的な評価はイマイチです。
<了> ※2018.10初投稿
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