「人の心中は謎」マリア・ブラウンの結婚 かばこさんの映画レビュー(感想・評価)
人の心中は謎
「ニューシネマ」と言われるものは、年月を経て観ると公開当時の画期的なところがわからなくなって平凡な映画に見えがち。この映画もそうかもしれない。
今や、持てるものは何でも使ってのし上がるたくましい女性を描いた映画は珍しくないし、もっと過激なものもあるのでさほどインパクトは感じないが、当時としたら画期的だったのかも。
マリアの遣り手っぷりが気持ち良い。
頭脳明晰で美貌と賢明さ、行動力を兼ね備えて権威ある人々にも物怖じしない。
雇い主で愛人のオズワルトにすら媚びないところが痺れる。
夫よりもオズワルトのほうがずっと良い人と思うけれど、愛はまた別なのでしょう、ヘルマンとは未だ新婚のままですし。
ヘルマンのあれは、裏切りなのかマリアの行動への合意または許容なのか、本人でないとわからないしマリアがどう思ったのかもわからない。
ヘルマンがマリアの殺人の罪を被って自ら犯人と名乗り出るところ、マリアが普通にそれを受け入れて平静でいる、それぞれの心中がわからない。
人の心の機微は人それぞれで他人には謎、そして唐突に終わって永遠に謎のまま、という描き方も、もしかすると斬新だったかも。
BGMが唐突で音が大きくうるさい。これも時代性だろうか。
マリアの母も笑えるくらいしたたかでたくましく、さすが母子、と思いました。
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トミーさんのコメント
2023年10月16日
観てみないと何とも言えませんよ「キリエのうた」、高評価の人も居ますし・・ただショッキングなシーンが有るのですが、今作に比べるとうじうじした感じは否めません。