マラソンマンのレビュー・感想・評価
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【”ニューヨークに現れた白い悪魔”今作は元ナチスの残忍な男が、ユダヤの民から巻き上げた宝を持ち出そうとする過程を、スリリング且つ物凄く痛そうなシーン満載で描いた恐ろしいサスペンスである。】
■マラソン選手・アベベを崇拝するベーブ(ダスティン・ホフマン)は、いつものようにトレーニングをしている最中に、ドイツ人とユダヤ人が罵り合いながらタンクローリーに突っ込む交通事故を目撃する。
やがて、兄のドク(ロイ・シャイダー)が匿って貰うためにベーブの元にやって来るが、彼は何者かに殺される。
ドクから何かを聞いたと思われたベーブは、謎の男達に拉致され、白髪の老人に歯の治療と称して物凄く痛そうな拷問を受ける。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・作品公開が、1977年と有るからナチスの残党が未だいたかもしれない時代であり、故に物凄く恐ろしい。
・何と言っても、ナチスの残党で元歯科医だという、ローレンス・オリヴィエ演じるクリスチャン・ゼルが、ベーブを捉えて、ドクから聞いた事を吐かせようとする歯科器具をずらりと並べて、彼の歯を傷つけるシーンは怖い。痛そうである。直接的に映していないから尚、怖い。
■ストーリー展開は、比較的にシンプルであり、ユダヤの民からクリスチャン・ゼルが第二次世界大戦時に巻き上げた多数のダイヤを、ニューヨークの貸金庫に保管してあったが、兄がユダヤ人との間に起きた交通事故で死に、兄が持っていた貸金庫の鍵が無くなったために、合い鍵を持っていたクリスチャン・ゼルが、貸金庫の宝石を取り出しに来るというモノであるが、その過程でドクを始め、多数の人が殺されて行くのである。
■印象的なのは、ローレンス・オリヴィエ演じるクリスチャン・ゼルが、念願の貸金庫に預けてあったトランクの中の多数のダイヤを取り出すときの、下からのアップで映し出される狂的な表情である。
・そして、ベーブとクリスチャン・ゼルとの配水場での一騎打ちのシーン。ベーブはクリスチャン・ゼルの隠し刃を交わしつつ、トランクを開けダイヤを憎しみの表情でゼルに投げつける。命と思っているダイヤが、排水の中に次々に落ちる様を見るゼルの表情。ここは、ユダヤ系の血を引くダスティン・ホフマンが演じているので、説得力抜群である。
<そして、ベーブはユダヤの民から元ナチスのクリスチャン・ゼルが巻き上げた宝の入ったトランクを排水の中に投げ捨て、ゼルはそれを螺旋階段を降り乍ら追う中で、自らの仕掛け刃で死ぬのである。
今作は元ナチスの残忍な男が、ユダヤの民から巻き上げた宝を持ち出す過程をスリリング且つ物凄く痛そうなシーン満載で描いたサスペンスなのである。>
白い天使
幼少時の辛い記憶を抱えるマラソン好きの大学院生ベーブ( ダスティン・ホフマン )に、次々と降り懸かる恐ろしい出来事。
対照的な性格の兄ドクをロイ・シャイダーが演じる。
不穏な緊迫感がヒッチコック作品のようでした。
NHK-BSを録画にて鑑賞 (字幕版)
ローレンス・オリヴィエの芝居がエグイ!
ジョン・シュレンジャー監督と言えば、「真夜中のカウボーイ」を思い出すが、毛色の違うこの作品もかなり面白い一本だ。
よく出来たサスペンス映画は、時系列で問題が深刻化してゆき、徐々に緊迫感が高まっていく。 主人公を襲う悪者の存在や厳しい状況、トリックやどんでん返しなども、観る者の想定を超えていればいるほど盛り上がる。
その点、この作品はそれほどストーリー展開に依存していない。 警察組織の動きも最後まで見えないままで、リアリティを補強しようとした形跡はない。
緊迫感が若干抑え気味に感じるのは、悪役がナチスの残党であることが、勧善懲悪のニュアンスを生み出しているからかもしれない。 終始、緊張感MAXのサスペンスではなかった。
これが傑作と言えるのは、監督のパワフルな演出によって生み出されるインパクト十分のシーンが各所に散りばめられ、ハラハラドキドキだけではない見応えを味わえるからだろう。
コアとなる登場人物の表情のカットを織り交ぜ、張り詰めた空間を浮かび上がらせるあたりは、正に匠の技だ。 何度もアカデミー撮影賞を受賞しているコンラッド・ホールの映像は、演出の効果を一層際立たせている。 そして、編集のジム・クラークの仕事が素晴らしい。
特に、特に、特筆すべきは、元ナチ党員を演じるローレンス・オリヴィエだ。 憐れなほどの低俗さと信じがたいほどの冷血さを、これほど見事に演じるこの俳優は、ただ者ではない。 明治生まれの人だが、主役のダスティン・ホフマンの芝居を完全に食っている。
観て損はない、ちょっとホラーなサスペンス映画の傑作。
ナチスの遺産
なかなか全体像が見えてこない内容でした。
訳の分からぬまま、ナチスの残党に絡まれてしまう青年の話。途中までどう繋がるのか分からなくて、とりあえず引き込まれました。
主人公と大学教授のやり取りなど必要だったのでしょうか。父親のトラウマも必要以上にクローズアップされているような。お兄さん、弟を巻き込みたくなかったのなら、戻って来ちゃダメよね。走り慣れていたから命拾いしたかも知れませんが、タイトルにマラソンを入れたことで、内容に相応しくない感じがします。
ナチスの元軍医がNYの宝石商が建ち並ぶユダヤ人街でうろつくシーン。よく歩けるよな(-_-;)。どこまでも強欲で、どこまでも人命を軽視している証のようでした。
主人公が"the creep"とか"creepy"というあだ名のお陰で、近所のワルの信頼を得る所が微笑ましかったです(^^)。
歯医者さんが苦手な人は、更に苦手になるシーンがあります。
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