「他人事と自分事。」招かれざる客 Noriさんの映画レビュー(感想・評価)
他人事と自分事。
めちゃめちゃ良かった。半日という限定された時間の中で、かつ、ほとんど家の中で個々の会話の中から、それぞれの心情、思い、迷いや憤りが浮き彫りになっていく、秀逸な群像劇。
表向き、他人事として論評する、表明する意見・綺麗事と、自分事となったときに感じ考える本当の気持ちと。倫理的には正しくても、受け入れられないと感じてしまうことや、自分の身に降りかかってきた場合は別だ、と意見を翻す。誰もが胸に手を当てると思い当たる出来事の一つや二つあるのではないか?
ゴミの分別が少し甘いかなと思いつつも出してしまうといったところから、2023年11月、自分がイスラエル人だったら、倫理的に正しかろうとも現時点での停戦は受け入れられないだろうといったところまで。
1967年の作品だが、ここに描かれている両親の苦悩・葛藤は、その対象が異なったとしても、普遍的で誰もが経験するところだろう。
この葛藤の中で、それぞれがどのような見解に到達し、他者にどのように伝えていくのか?ラストまで、どう転がるのか、自分だったらどういう選択をするのか、緊張感をもって見守ることのできる作品だった。
黒人の母の語りは沁みたし、お互いが必要としていることの大切さを改めて考えることができた。
鑑賞してほんと良かった。
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