「かつて存在した「あの時代」」真夏の夜のジャズ ブースカちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
かつて存在した「あの時代」
この映画が、あるいはニューポートがジャズのすべてではないが、スクリーンの向こうから「This is Jazz.」のメッセージが聞こえてくるような、ジャズ・ファンにはたまらない映像である。
歴史に名を遺すような演者たちのパフォーマンスと、それに向き合う聴衆の姿は、もう帰ってくることがない過去の美しい一瞬として、切なさとともに突き刺さってきた。
演者と聴衆を代わる代わる撮っている「だけ」の映画であるはずなのだが、そこに展開される濃密で上質な音楽空間を、時代と空間を越えて共有できることに、無上の喜びを覚える。
また、この時期にロックンロールが誕生し、本作中にも、チャック・ベリーが登場する。
そして、この「ニューポート・ジャズ・フェスティバル」を扱った映画「上流社会」では、ビング・クロスビーが「Thiat's Jazz」という曲で、サッチモとともに”Rock'n Roll"と歌うのである。
まさにアメリカ音楽文化の最も重要な歴史的瞬間を切り取った映画である。
不覚にも泣いてしまった。
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