「タイトルなし」マイ・フェア・レディ ouosouさんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルなし
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イライザもそのお父さんも人間としては完成していて、だからこれは、ミソジニー全開マザコンマッドサイエンティストことヒギンズの成長譚でなくてはならないはず…と思いながら見ていたが……そうなりそうでならなかった、ラストがとても残念だった。イライザ、戻っちゃうのね。
そういう意味で、これはミュージカルでなくてはならない、嘘くさい作り物でなくてはならない、と思った。(ミュージカルって脇から都合よく人が出てきて椅子を置いたりお野菜渡したりするでしょ。)
それまでイライザを物とも変わらぬ扱いをしていたヒギンズが、氷嚢を共有した途端にイライザがヒギンズの世界の言葉を使い出すという演出はハッとした。痛みを共有できる対等な人間扱いだね。だからこそ結末にモヤモヤ。エブエブの結末と似てるのかなぁ。
まあ、録音室というか特訓室に写真がベタベタ貼ってあるのを見た瞬間から「惚れてますやん…」という演出ではある。
言語とは、表面を取り繕うものにすぎないし人間の間をツルツル行き交うメディアにすぎないという側面と、人のアイデンティティに深く根ざしたものであるという側面と、両方あるということ。それ故にいわゆる上流社会の上っ面をイライザは暴いたし、それ故にイライザは深く傷つき変わった(変わってしまった)。
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