ボブ・マーリー ラスト・ライブ・イン・ジャマイカ レゲエ・サンスプラッシュのレビュー・感想・評価
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「ボンゴマン」とこっち、両方見て欲しい~
ジミー・クリフの主演の「ボンゴマン」で衝撃を受けたので、こちらも見たが、
一般的な日本人の老若男女が思うレゲエって、実際のレゲエのもつ力のほんの一部分だったということに気づかされた。
他の人もコメントしてるように、レゲエを夏のなんか緩くて楽しい気分の音楽としてだったり、まったりしんみりと聞くことはあっても、もっとソウルのこもった、強いメッセージを訴えている音楽だとは、自分も深く考えたことなかった。
この作品でなんで、ボブ・マーリー推し、ボブ・マーリーの映画みたいに宣伝しているのかって思うくらい、ボブ・マーリーの出てくる場面少ないと思う。
それよりもこれまで知る機会のなかったようなことがスムーズに出てきて、
この時代のレゲエの背景や、ジャマイカ人のことが知れて、レゲエとジャマイカ人に深く関係する彼らの信仰もちょこっと垣間見れて(それがかなり面白かった)、
しかもざっくりとした作りの映画だから余計にストレートに伝わってきた。
過剰に大げさでインタビューの言葉で飾られるのではなく、自分がそこにいるように
見て感じるといったふうに。
だからこそ、かなり退屈な部分もあるかもしれないけれど、そういうのもあって全体が伝わる。ただ楽しいだけじゃない。
レゲエのDJの一般人と有名になったひとの違いは、この映画や「ボンゴマン」でも感じたけれど、どれだけ、ソウルをこめて伝えようとするか・・・それだけ力こめてるからこそ
背景も何もわからない人にまで伝わって、しかも長く愛される曲となってるんだよね。
やはり他の人も書いていたが、ボブ・マーリー以外のアーティストの言葉や、
海辺で語っていた3人の様子が、なんか妙に印象強く残った。
これは見てみないとわからない(なんともいえない!興味深い)けれど、映画の時間も長いし、音楽だらけの楽しい映画っていうわけでもない、割とちゃんとした映画なので誰にでも勧められない。
「ボンゴマン」の方が見やすいかも。
好感だが
確かにボブ・マーリーのラストライブなんだけど、原題の通りレゲエ・サンスプラッシュの映画なのでサードワールドやらピーター・トッシュなどのパフォーマンスも結構ある。
解説などが少な目なのは好感だが、それでもガンジャの存在感やラスタファリズムなどを端的に説明しているのはたいへん良かった。
そしていよいよ迎えるボブ・マーリーのパフォーマンスはやはり圧巻。ウェイラーズとしても一緒にやってたピーター・トッシュとも比較にならない… やはり圧倒的なカリスマだったのだなという説得力がスゴい。
音質・画質もリマスターのお陰か、それ程酷くはなかった。ジャマイカ産品質でこれなら文句はないです…
惜しむらくは、せっかくリマスターしたんだから、歌詞の字幕も入れて欲しかった。メッセージが重要なのはインタビューのとおりなので。
レゲエは虐げられた者たちの祈りであり心の叫びなのだ
僕はレゲエについて、そしてボブ・マーリーについて何も分かっていなかった。海岸沿いをドライブするとき大瀧詠一の "a long vacation" を聴くみたいにボブ・マーリーのレゲエを聴いていた。カリブ海に浮かぶ常夏の島ジャマイカの音楽、シンプルなメロディーに独特のリズムが海岸線のドライブにピッタリだと思って聴いていたわけだ。能天気な楽しい音楽として。…レゲエってそんな音楽ではなかったのだ。アフリカから連れてこられた奴隷たちの末裔であり、いまだ貧しいジャマイカの黒人たちの心の叫びだったのだ。この映画の後半になりそれに気がつき僕はボブ・マーリーの歌に釘付けになっていた。彼はおそらく黒人と白人とのハーフなんだろう。ステージで何かを祈るように眼を閉じ身体を左右に大きく揺さぶりながら歌う彼の姿形は他のハーフの多くがそうであるように美しい。僕にはイエス・キリストのように見えた。"no woman, no cry" 男たちに虐げられた女たちよ、心いくまで泣けばいい そんな歌詞なのかな?(違っていたらごめんなさい)。ボブ・マーリーの歌は白人に虐げられた黒人に対するだけでなく、すべての弱者たちに寄り添う祈りであり、心の叫びなのだ。
そしてボブ・マーリーはこの翌年36才の若さでラスタファリズムに殉教した。
撮影も録音も編集も雑すぎ!
1979年7月3−7日、ジャマイカのJarrett Park, Montego Bayで開催された第2回Reggae Sunsplashのライブドキュメンタリー。
問題は、肝心のBob Marley & The Wailersの音が悪すぎること。撮影も録音も編集も雑すぎて観るに耐えない。観客の熱狂も画面からは伝わってこない。歌っているボブの顔に何度もフラッシュがたかれ、興をそがれる。ライブ映像にインサートされたボブ・マーリーのインタビューも、なんか覇気がない。豪邸の壁に寄りかかって当たり障りのないことを喋ってるだけ。ずっと表情が硬く、インタビュアーに心を開いているように見えない。4月の来日公演の疲れが抜けきっていなかったのだろうか。演奏も冒頭のサード・ワールドのほうが盛り上がっていたように見えてしまった。
インサート映像の当時のジャマイカの町並みと住民たち、初期のサウンドシステムとDJたちの様子は大変興味深かった。
海辺でボンゴとコンガのみで歌う硬派ラスタマン3人組。「電気を使って音楽をやってる奴らはホントのラスタマンじゃねえ、キーボードなんか使いやがって。」みたいなこと言ってて笑えた。クレジットがないためどこの誰かは分からないが、演奏も歌も迫力満点。丘に住んで自給自足してガンジャを吸って歌を歌う本来のラスタマンの生活を饒舌に語っていた。本作の真の主人公は彼らだと思う。今もまだ丘の上に住んでいるのだろうか。3人で。
人生の最後に1曲だけリクエストできるとしたら
私は迷わず「Natty Dread」の「No Woman No Cry」を選ぶ。「Live!」の方ではない。
たぶんみんなが好きなのは後者の方だろう。ドラマティックでかっこよく。でも、私はのどかでのんびりとした前者を選ぶ。
そんな私の評価5を鵜呑みにするのは危険です。
昔、渋谷陽一が「サウンドストリート」という番組でこんなことを言ったことがある。
「ジョン・レノンが死んだ時には、僕たちはみんな涙した。でも、ボブ・マーリーが死んだことを聞いても(自然の一部としての人間なんだから)「そんなこともあるよな」と思える。それが彼の凄いところだ」と。
そんなボブ・マーリーは、この映画ではなかなか出てこない。ほんとに出てこない。いつまでも出てこない。
だから、私のような思い入れのある人でないと、なかなか退屈な映画かもしれない。
でも、(曲として、音としてしか知らない者としての)私にとっては、動いているボブ・マーリーが「No Woman No Cry」を歌っているシーンを見れるだけでも充分幸せだった。
メジャーにおいてのご本尊はボブに違いないが…
ボブ・マーリーの映像は確かに圧巻の存在感と洗練された構成によって間違い無く堪能出来るが、この作品の良さはそこではなく「その他」にある。ピーター・トッシュ、バーニング・スピア、サード・ワールド、そして極め付けはクランシー・エクルズである。クランシーに至ってはインタビューにプラスしてカラオケてわはなくテープから流れる自分の作品に合わせて歌うという間に合せでしかないようなジャマイカの雑なノリにもかかわらず素晴らしいボーカルを披露してくれた寛容さにラスタマンの真髄が何となく見え隠れする気がした。貴重な映像だから、見れるなら見ておくべき作品であることには間違いない。この後、一年足らずしてボブが鬼籍に入ってしまった事実を鑑みるなら、感慨も一入である。
シネマカリテの小さなスクリーンと相性良し。
ジャマイカンのよく似た風貌が並ぶ中やはり頭抜けたボブマーリーの歌力。 創造主を敬う姿勢と真逆のルーディな容姿がピタリ重なり合うのも気持ちいい。
遠慮なく身体を揺すってreggaeを浴びようよ。
聴くな、感じるんだ
ボブ・マーリーの最後のライブとなった79年7月の母国ジャマイカでの第2回レゲエ・サンスプラッシュの模様を記録した1980年製作のドキュメンタリーのリバイバル。ライブパフォーマンスが見どころなのはもちろんだが、それ以上にミュージシャン達の発言に興が乗った。
「ジャマイカは貧しいが、政府は助けてくれない。だからガンジャを栽培して生活するしかない」、「レゲエは聴くものではなく感じるものだ」…などなど、どれもこれもが珠玉。あらゆる権力=バビロンによる抑圧から解放を「大地の力と人々のリズムがある」レゲエで訴え続ける。ボブが亡くなって40年強だが、母なる大地の鼓動(リズム)は今なお続く。
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