「レゲエは虐げられた者たちの祈りであり心の叫びなのだ」ボブ・マーリー ラスト・ライブ・イン・ジャマイカ レゲエ・サンスプラッシュ ゆみありさんの映画レビュー(感想・評価)
レゲエは虐げられた者たちの祈りであり心の叫びなのだ
僕はレゲエについて、そしてボブ・マーリーについて何も分かっていなかった。海岸沿いをドライブするとき大瀧詠一の "a long vacation" を聴くみたいにボブ・マーリーのレゲエを聴いていた。カリブ海に浮かぶ常夏の島ジャマイカの音楽、シンプルなメロディーに独特のリズムが海岸線のドライブにピッタリだと思って聴いていたわけだ。能天気な楽しい音楽として。…レゲエってそんな音楽ではなかったのだ。アフリカから連れてこられた奴隷たちの末裔であり、いまだ貧しいジャマイカの黒人たちの心の叫びだったのだ。この映画の後半になりそれに気がつき僕はボブ・マーリーの歌に釘付けになっていた。彼はおそらく黒人と白人とのハーフなんだろう。ステージで何かを祈るように眼を閉じ身体を左右に大きく揺さぶりながら歌う彼の姿形は他のハーフの多くがそうであるように美しい。僕にはイエス・キリストのように見えた。"no woman, no cry" 男たちに虐げられた女たちよ、心いくまで泣けばいい そんな歌詞なのかな?(違っていたらごめんなさい)。ボブ・マーリーの歌は白人に虐げられた黒人に対するだけでなく、すべての弱者たちに寄り添う祈りであり、心の叫びなのだ。
そしてボブ・マーリーはこの翌年36才の若さでラスタファリズムに殉教した。
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