「恵まれた人達のバブリーな物語。二枚看板の群像劇。」炎のランナー コバヤシマルさんの映画レビュー(感想・評価)
恵まれた人達のバブリーな物語。二枚看板の群像劇。
内容は、実話を元にした1924パリ五輪を巡る二人ハロルド・ユダヤ人とリデル・宣教師を中心にケンブリッジ大学内に描かれた若者達の群像劇。印象的な台詞は『勝つのが怖い!勝利の虚しさを知る!』ハロルドの短距離走で優勝する前に語る言葉。勝負の厳しさ以外にも偏見や目立つ事への弊害や嫌悪感すら感じ始めた人間的にも成長した一言が良かったです。ノヴリスオブリージュの雰囲気と『お国の為だ、罪な話だ、その殺し文句で人格を抹殺するなんて』戦争に対する嫌悪感🪖がメッセージとして強く伝わってくる。『敵は、ユダヤ人である事』この一言も強く時代背景と偏見が分かる一言でした。印象的な場面は、時は1920年代ジャポニズムブームの舞台女優と恋に落ち食事の席で、いつものお任せ料理を女性が頼み同じ物をと行った後、ユダヤ教で禁厭とされている豚足🐖料理が出て来て二人で顔見合わせ笑う場面。一気に距離が縮まる場面は見ていて楽しかった。印象的な状況は、やはりヴァンゲリスの音楽と波の高い浜辺を走る若者達を固定したパン映像で追いかける映像の美しさと言ったらこれだけで感動物です。唯走ってるだけなのに音楽と合間って素晴らしい映像に生唾物です。ぐっと拳を握りたくなります。このオープニングとエンディングを見るだけで充分楽しめる映像の素晴らしさです。始めと最後の映像が違う事に意図した時間の流れを感じました。よく似てたけど同じだとダメだと言われてるみたいで深読みしてしまいます。全体的に恵まれた人達の葛藤が描かれた日本のバブル時期の大学生映画の様な乗りで親近感は抱きませんが、こういう世界もあったのだと勉強になります。
コメントありがとうございます。多くのコメント非常に嬉しく思います。遠藤周作原作の沈黙(サイレント)も確かに彷彿とさせますね。業火に焼かれた信仰の行方には絶望という深淵を覗き込んだ宣教師たちの認識には目を奪われました。
貴重なレビューありがとうございます^ ^
これも自分的には観る度に新しい発見がある映画です。
普通の人間の信仰の葛藤というものが「沈黙」を彷彿とさせますね。
イギリス映画というとまずこれとケンローチ監督作品を思いますf^_^;