ポセイドン・アドベンチャー(1972)のレビュー・感想・評価
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アメリカ的「神は死んだ」
「とにかく頼れるのは、自分の意志と行動力!」って、「アメリカ イズ No.1!」と言っていた頃の、かつ、今アメリカがこうでありたいという基本的な発想のアメリカイムズを明確に表現している。
「えっ!?こうくるの?」という展開。
もちろん、脱出劇だけあって、一難去ってまた一難。その展開には手に汗握るけれど、まあ、最後には助かるんだよねとどこか楽観視していた安心感を吹き飛ばす展開にびっくり。
その意思を引き継ぐのは当然あの人だろうが、その言葉に重い腰をあげるかってところもツボ。
ツッコミどころはたくさんある。
船の乗組員の意見をことごとく否定するその神父の考えの根拠は?神父が、神父になる前、軍艦に乗ってたとかのエピソードがあれば納得するが、そんなものはない。ただ、教義とか先輩の教えに従わずに自分を貫いて左遷されたエピソードがあるだけ。不安をあおる演出?
他にも、他にも、あれやこれや…。
とはいえ、映画にくぎ付けになる演出も多数。
転覆した船の全容を見せないところが、かえって、その選択は正しいのかと、常にハラハラさせる。
女性が足手まとい気味に描かれている、努力していない人が助かるとかいう人もいたけれど、苦手なことをあんな場で克服するのってどんだけ勇気がいると思っているのだろう?その様子に手を差し伸べる男の姿にも、惚れこんでしまう。
こちらに迫ってくる津波も迫力満点。飲み込まれるかと思った。
他にも、逆さになった理容室とかトイレ。緊迫した中の(笑)。
また、映画は、天と地がひっくり返った構造で、かつ、助かるために船底を目指すというパラドックスがよく評論で語られる。
加えて、豪華客船に、お金と暇を持て余した富裕層だけでなく、時代的に飛行機より安いのだろうが、現場を走り回る刑事と元娼婦のカップル。しかもこのカップルは、大みそかのカウントダウンという一大イベントの時に、船長のテーブルに招待されているというところにも、アメリカの下剋上的発想が盛り込まれてて面白い。しかも演じているのが、貴族の血を引くボーグナン氏!
危難を避けてどこに逃げるか、誘導するか。
大川小学校の例のごとく、東日本大震災等の危難を経験した人なら、気安く語れるものではない。どの人にも他人事ではないのではなかろうか。
パニック映画の古典にして色あせない名作。
脱出劇としての面白さは言うまでもない。
でも、それだけではなく、
ロゴの、妻とのエピソードの時の表情が実に味わい深い。
そして、上記に「神は死んだ」と書いたが、
もう一人の神父の生きざまが心から離れない。
自分の心に従って、弱きものの傍にあり続けたあの神父。私にそんなことができるだろうか。
外にいる神は死んだのだろう。
でも、一人一人の内なる神について考えてしまう。
だから、私にとっていつまでも心に残る映画となった。
サバイバルパニック映画の最高峰!
「ポセイドン・アドベンチャー」字幕版 PSvitaで鑑賞。
*概要*
豪華客船が航海の途中、大晦日を祝うため多くの客が乗り合わせていた時に巨大な津波が押し寄せ船は転覆。パニック状態に陥った乗客の中で、たまたま乗り合わせていた乗客たちが決死の脱出を試みる。
*主演*
ジーン・ハックマン
*感想*
急にポセイドン・アドベンチャーが観たくなったので鑑賞。数年前にDVDで観た記憶はありますがほぼ忘れましたww
公開された当時は僕自身、産まれてないので、今見ると、凄い撮り方だなぁ~って思いました。特にポセイドン号が転覆するシーン。乗り合わせた乗客たちはパニック状態。画面が傾いて、乗客たちが悲鳴を上げながら右上から下へ落下したり、上から下へと落下したり、カメラワークが斬新。船内に大量の水が入ってくるシーンは迫力満点!古い映画ですが、20代の僕でも興奮しました!
あと、話の流れが良かった!最初はテンポが悪いなーって思ってたんですが、乗客一人一人の視点からの話があって、それぞれの人間模様が描かれていました。牧師、老夫婦、姉弟、頑固な警部補、元娼婦、船員のボーイ、歌手など…まさに群像劇!個人的にスーザンが可愛かった。(^^)
牧師と警部補は何度も喧嘩したりするんですが、仲間と一緒に力を合わせて豪華客船から脱出を試みます。途中、思わずグッとくるシーンや、何度も生死を分ける選択肢に迫られます。爆発、大量の水、障害物が恐ろしかったな…
総じて、めちゃめちゃ面白かったです!迫力満点だったし、もう一回見たいです!\(^^)/
●その選択が生死を分ける。
セウォル号沈没事件を思い出した。「部屋で待機を」って言われて、いうこと聞いた多くの人たちがそのまま海に沈んでった。
考えさせられた。それぞれが勝手な行動したら収拾つかないし、かといって指示待ちでいるにはリスクが高すぎる。でも、何もしないと死んじゃう可能性もあるわけなので、やっぱり行動しないと何も始まらないなあと。行動した上で納得いく説明があるなら従おうとかシミュレーションしたりして。
この映画でも、誰を信じるかが生死を分けた。牧師に委ねるのは勇気がいるけれど、まずは動こうってのは正しい。有事には大人も子供も男も女もない。もちろん身分も。冷静に、助かる角度を最大限に最短距離で上げるだけだ。右に行くか左に行くか。究極の選択だ。
でも実は有事に限らず、人生は選択の連続だ。しっかり自分で考えて行動することが大事である。
豪華客船の迫力‼️
迫力あった。
古い映画だが充分迫力があり、最後までテヒ汗握った。映像は見た目のショッキングさもテンポも最近のもの方が、上なのに何故だろう。
リアルタイムで見てたらトラウマになりそうな生々しさがあった。最近の映画の「リアル」とは質の違う「リアル」さを感じた。
リーダーの牧師さんは、次々出される問題を決断して、みんなを強引にみんな引っ張っていく。その力の拠り所は神だろうと思う。
強力なリーダーシップ、ヒーローになるには強力な信仰、拠り所が必要なんだろうと思う。それが神に対する怒りでも。選択した結果が正しいかは分からないが、選択した事は正しい、と思う為の拠り所。
そんな牧師が心が折れそうになった時に彼を救ったのは、牧師の信者たる少女と彼に懐疑的だが決断はしない刑事。
神と人によってリーダーになり、ヒーローとして死んでしまう。
そんなリーダーになりたいと思う。そのために心の拠り所となる何か、内なる神を持たなくては、そんなことを思わせる映画でした。
結構宗教的との関連、解釈が色々ありそうなので、機会があったら調べてみよう。
よかった
午前十時の映画祭で初めてスクリーンで見た。子供の頃にテレビで何度か見ていて、ジーンハックマンが赤いハンドルにぶら下がっている場面が印象的で、そのハンドルが出て来た時、あれだ!と思った。
太ったおばあちゃんが見せる男気とガッツに感涙した。
『タワーリング・インフェルノ』より人間ドラマが濃厚だったような気がする。
タイトルなし(ネタバレ)
ジーンハックマンの強く、強く生きようする意思がとても良い。どう行動すれば正解かなんてわからない。それでも決断をしなくてはならない。犠牲が出ようとも、諦める事なく抗う先に、自分の内なる神が自分を助ける。
序盤の和やかな年越しシーンから、絶望的な転覆で一気に緊張感が走る。自分がその場にいたら最初にツリーを登れただろうか?差し迫る水位に臆せず梯子を登れただろうか?大勢が向かってるから船首の方にいかなかっただろうか?
そんな臨場感が全編に渡りあり、聖書的なテーマを別にしても最高のスペクタクルが楽しめる。
パニック・脱出もの映画の優秀な元祖
総合:80点
ストーリー: 80
キャスト: 85
演出: 85
ビジュアル: 80
音楽: 70
それぞれの人々は、会ったばかりのただの一般人。誰一人としてサバイバルの専門家などいない。混乱して恐怖にすくみ意見が対立する中でも、人の都合など待つことなく水の浸水は続いて爆発が起き、次々と危機が訪れる。果たして何が正しいのか、どのような決断をすればよいのか。その場面場面で何が正しいかを冷静に分析して決断をするという運命の分岐路が深刻な意味を持ち、この映画の緊迫感を盛り上げる。
それぞれの登場人物が年齢も性別も正確もばらばらで、彼らが次々におとずれる危機に示す反応が個性を発揮して人間劇となっているのも見所。特にジーン・ハックマン演じたスコット牧師の、非常事態における有無を言わせぬ強引なまでの指導力と決断力は最も魅力がある。この状況で当たり前のことをやっていては生き残りは困難だろう。
地震のせいで津波が起きても通常は沿岸に近づくまではそれほど大きな波にはならないのではないかとか、転覆前には大荒れだった海なのに、そんなに簡単に転覆した船の船体にとりついてバーナーで船底を焼ききれる作業が出来るのかとか、穴を開けたら救出前に船体から空気が噴出して一気に浸水が進むんじゃないかとか、疑問点もある。いつ沈むかわからない転覆した船の上にヘリコプターが堂々と着陸するなんてのも考えられない。だが全体として緊迫感を盛り上げるものとしての物語は良く出来ており、また錆や汚れまでもが再現された船内のセットも現実感を煽っていた。
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