「他人事ではない課題」ホームワーク 雨音さんの映画レビュー(感想・評価)
他人事ではない課題
イランのこどもって、勉強が大変そう、宿題が相当難しいのかな、国の体制がしっかりしている、というか厳しいというか…と他人事として呑気に観ていた。けれど、途中で日本のことが出てきて、あれ?となった。気がついた。他人事ではない、そういえば日本も同じだった。
日本では、「いい大学に入るため」の受験勉強がひどいのだから!
公立の小中高はそこそこマシかもしれないけれど、塾や、受験校と呼ばれる私立などはどうなのか。
大学や高校受験の勉強だけならまだしも、いい高校に入るため→いい中学校に入るため→いい小学校にはいるため、と、どんどんエスカレート。そして、まだ遊びたい盛りの、頭がいいとされる(そう期待される)子どもたちが、成績表を気にしながら、塾漬け、宿題漬けになっている。そして親も翻弄される。
そういう人たちが国を背負うエリートになっていくのだけれど、大丈夫なのか…?
家庭や個人により選択の自由があるところが日本ではマシで、そんなことは選択しない家庭も多いだろうけど、そうでない家庭もある程度いるのは確かだと思う。
そして、塾や受験校で学んでいる内容や大学の入試の内容の、その中味はどうなんだろう?
ここに出てきた父親が言うように、記憶力さえよければいい、という内容になっていないか?
考える力や創造力は養えている?
かといって、アメリカ式がいいとか、宿題はいらない、とは思わないけれど、こどものうちから、他の色んなことをする時間を奪って、かつ心理的に縮こませてまでさせる必要があることなのか。
そうやって育って大人になったとき、どうなっているのか。国はどうなるのか。
ストーリー展開が殆どないので、特に最初のうちは眠くなり観るには少し根気がいったけれど、最後は深刻気分という、やはり考えさせられる映画だった。