「超えられない境界」ボーダー(1981) ひろたんさんの映画レビュー(感想・評価)
超えられない境界
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国境警備隊員の胡散臭い仕事がリアルで、幸せを求め、傷ついてゆく人々が痛ましい。
浪費癖をたしなめられたマーシーは、夫の「これが、おまえの幸せか!」という言葉に、なぜか恐ろしさを感じてしまう。
マーシーが求める幸せな世界にチャーリーが居ないことに気付くシーンで、二人の間の、心の境界が明らかになる。
境界を越えようとするマリアは、子供を奪われ、弟を殺され、メキシコに連れ戻される。
マリアの求める幸せは、マーシーの幸せと表裏の関係でシンクロしている。
チャーリーは命がけで赤ん坊をさがし、マリアに渡す。
マリアは境界を越えられなかったけど、乳飲み子を抱いて幸せな笑みを浮かべる。
国境は無くならないし、チャーリーとマーシーとの心の境界も残るのだろう。
不条理で切ない物語である。
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