劇場公開日 1960年4月1日

「【”憎しみより愛と赦しを” 神の下での一人の男の流転の人生を描く。】」ベン・ハー(1959) NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5【”憎しみより愛と赦しを” 神の下での一人の男の流転の人生を描く。】

2020年4月5日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

幸せ

 -今作品は、初鑑賞である。(憐れみの眼で見ないで下さい・・)-

 客電が落ち、音楽が流れ始めるが映像が出ない。ひたすら出ない。音楽は流れ続ける・・。
 故障? 他の観客に聴きたいのだが、皆さん(と言っても4名のみ。)通路側に座っており、ど真ん中で見ている私はどうしようもない。
 ひたすら、映像が出る事を”神に願う”事、8分位。
(後から入場時に渡された紙を観たら”開始後、6分半序曲が流れている間はスクリーンに映像が出ませんが、こちらは演出によるものとなります。”と書いてあった・・。)

 漸く、メトロのライオンが画面に出て、ほっとする・・。(全くもう!)

 さて、内容は多くの方が観ていると思われるので記憶に残った部分のみ記す。(3H42Mもあるんだよ!)

 ・冒頭、西暦26年とテロップに出る。あ、ベン・ハーと”神”はほぼ同じ年齢なのね、と分かる。

 ・ユダヤ貴族のベン・ハー(チャールトン・ヘストン:敬愛する伊丹十三のエッセイで(彼は、チャックとお友達だった・・)、チャールストン・ヘストンなどと平気で書くのはいやだねえという文があったなあ・・))は、ある事故により、朋友だった筈のローマ人軍司令官メッサラから舟を漕ぐ奴隷にされ、更に母と妹は囚われの身に。

 ・奴隷として歩かされている際、親切に水を飲ませてくれた人の後ろ姿。
(心の中で”松山ケンイチだ!”と叫ぶ。似ているのである・・。)

 - 今作が秀逸なのはこのシーンを始め、”神”の顔が描かれない所である。”神”の表情を如何様にも想像できるから。(他の宗教上の理由もあるかもしれないが)鑑賞中に偏った宗教観に捕らわれる事が無かったのは事実である。ー

 ・インターミッションの後の、4頭立ての馬レースのスピード感溢れる、凄い迫力の映像。CGのない時代にどうやって撮ったのか?
 他の場面もそうなのだが、出て来る人の数が凄い。特にコロシアム内のこの馬レースの迫力は今作の白眉のシーンの一つである。

 ・囚われの身となった母と妹が”業病”になった事が分かるシーン。”業病”とは聞きなれない言葉だが、母娘の仕種を見ているとハンソン病だろうと分かる。
 その母娘に対し、ベン・ハーを想うエスターの献身的な姿(”業病”はわが国でも、近年まで触れると感染するとされていた病である・・)と、ベン・ハーを想うがゆえに付く哀しき嘘。
 が、ベン・ハーに気付かれてしまい、二人の関係性に罅が入ってしまうシーンと、彼が岩陰に隠れながら母娘の姿を覗き見るシーンは観ていて辛かった。

 ・”神”がゴルゴダの丘に十字架を背負わされ歩かされるシーン。ベン・ハーが”神”に水を与えようとするシーン。

<”神”が処刑された時の言葉を聞いたベン・ハーが
 ”恨みは、洗い流されてしまった”
と呟くシーンと、その後に母娘に起きた奇蹟のシーンは忘れ難い。>

NOBU
talismanさんのコメント
2023年3月16日

NOBUさん、こんばんは。ベン・ハーは中学生位の時、学校の企画で見に行ったんだと思います。プロテスタントの女子校だったからかな

talisman
pipiさんのコメント
2022年8月11日

劇場でご覧になったのですねー!
羨ましい。

本作は子供の頃にTVロードショーで何度も観たような気がするのですが、今調べると2回しか放映されていない事になっている。
記憶が「十戒」と混ざっているのかもしれませんが、十戒放映記録も90年代以降しかわからないようだし、TV局にすら放映データが残っていないのかもしれませんね。

50年代〜70年代の映画は、母の影響もありますが幼少期の記憶に強く残っています。(母が高校生の頃の作品がメインなので、全部TVの吹き替え視聴ですけれどね)

思えば「スターウォーズ」と「E.T」が時代を分ける分岐点かもしれません。50年代からの映画黄金期はスターウォーズで一つの節目を迎え、80年以降の作品は現在もまだ影響を与えていて今なお同区切りと見做す事が出来るのかもしれませんね。未だにトップガンが創られたり、80年代の漫画作品がアニメ化されたりしているくらいですから。
でも、そろそろ数年後に節目となる作品が登場し、2030年代頃から新たな映画時代が幕を開けるのかもしれませんねぇ(しみじみ)
そんな歴史的大作が登場するのを心待ちにしたいと思うのであります。

pipi
LaLaさんのコメント
2022年4月2日

NOBUさん ☆彡
こんにちは(^^)/
共感&コメントをありがとうございました。

劇場も、コロナ禍の影響が大きかったですもの
映像が始まらないと不安になりますよね(^^)
作品、6分半の序曲 演出がびっくりです。
チャールトン・ヘストンといえば
先ず浮かぶのが、「猿の惑星」ですが
この「ベン・ハー」は
私の父がよくテレビのロードショーで
編集されたVersionを観ていたので
幼い頃に知っていました。
大人になり、この作品の素晴らしさに
感動したものです。
過酷な運命の主人公が
ピンチの時、神に救われ
後に、その神にベン・ハーが
水を差しだそうとするシーンで
涙が止まらなかったです。
そして、病の谷での奇跡も感動しました。
馬の戦車競技シーンも迫力ありましたね。
この時代に、これほどのスケールで
撮影できたのが凄いです。

LaLa
kazzさんのコメント
2020年4月6日

劇場で観られたのですね!
羨ましい。
おそらく私は30数年前にレンタルビデオで観たのですが、オープニングの闇は記憶してます。
やっぱり不安になってテープを早送りして映像を確認し、また巻き戻して最初から観たような気がします。
劇場では観たことなくて、あの騎馬戦は大スクリーンで観たいです!

kazz