「「市民ケーン」を模した話術で語られるロックミュージック賛美の伝説映画」ベルベット・ゴールドマイン Gustavさんの映画レビュー(感想・評価)
「市民ケーン」を模した話術で語られるロックミュージック賛美の伝説映画
1970年前後に活躍した或るロックミュージシャンを追跡したノスタルジックな音楽映画。ロック音楽に詳しくないと充分楽しめないと思うが、オスカー・ワイルド的怪しげな色彩を帯びた美術やデヴィット・ボーイを想わせる独特な衣装と、映像的には個性豊かである。その斬新さとは裏腹に、彼を追い掛ける新聞記者のインタビューと半生を取り入れた構成の話術が、ウェルズの古典「市民ケーン」を参考にしたところがあり、作品としては確りしている。ラストシーンの伝説の歌手が月夜の雲に隠れるシーンが象徴する、不思議な魅力を持った映画。私的には、不得意分野故の限界がある。
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