ペット・セメタリー(1989)のレビュー・感想・評価
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やった事を後悔しない潔さ
医者のイケメン主人公、美人妻と娘と赤ちゃんの息子、ネコ、面倒見のいい近所のジジイ、そして陰気な通いの洗濯婦と、完璧な布陣で臨む起き上がりホラー。
最初から最後までつかみはOKで掴まれっぱなしのままラストを迎えました!!
こうでなくては!!
リビングデッドを美しく描くのは女性監督うまいな〜。
助っ人の子がいちいち的確な助け方をしてくれて面白いw
取り戻せないものを取り戻そうとする哀しさ
久々に、勝手にスティーヴン・キング特集その15。
今回は『ペット・セメタリー』を紹介。
原作は、個人的には数あるキングの長編中
でもベスト5に入る傑作だと思っている。
ネタバレを避けて書くのが極めて難しいが、
救いようのないほど悲惨な展開を迎える物語。
あらすじ。
主人公ルイスは高校で医師として働く為、
一家で田舎町郊外に引っ越してきた。
静かな土地、幸せな家庭、優しい隣人、新しい生活への期待……。
だがある日、一家が大切にしていた飼い猫のチャーチが
交通事故で死んでしまう。まだ “死” を理解できない
幼い娘に、チャーチの死をどう伝えるべきか悩むルイス。
そんな彼に、近く住む老人ジャドはある秘密を打ち明けた。
ペットを埋葬するため、近所の子ども達が裏山に
造った小さなペット霊園。そのずっとずっと奥に、
埋葬したものを甦らせる力を持つ古い土地が存在すると……。
...
愛する者を取り戻そうとして、
取り戻せないものを取り戻そうとして、
呪われた力にさえ縋(すが)りつく
人間の愚かさと哀しさ。
そんな行為は愛する者の為でなく、所詮は
己のエゴに過ぎないと分かっていながらも、
人は愛する者を生者の世界に、
自分の手元に必死に繋ぎ止めようとする。
……喪失を受け入れるのは辛すぎるから。
親しい人の死を避けて生き続ける事はできないが、
その死を受け入れない限り、人は前に進めない。
死に囚われ続けると、自分の心まで朽ち落ちてしまう。
そんな事は分かってるけど、辛い。
『愛する』というのは素晴らしい感情だが、
この物語で語られるのはその負の側面だ。
...
さて本作、
物語を映画の尺に収める為に原作から様々な要素を
削っているが、物語の大きな流れは大きくは変わらない。
事態がずるずると悪化していくのをこちらは眺めていること
しかできないし、猫のチャーチは不気味だし、終盤で
○○○が襲い掛かってくるシーンは恐ろしくも哀しい。
だが、映画版ではさすがに小説ほどの緻密な
心理描写は叶わなかったという印象が強い。
B級ホラーな雰囲気も強いせいで――
つまりは微妙にちゃっちく見えるVFXや
カメラワークやオーバーな演技等のせいで――
原作ほどの悲惨さは 1/2 も感じないだろう。
“パクスコー” の登場する最後のカットや
ラストの締め方もいかにもB級ホラーで(苦笑)。
また、ジャドの妻ノーマが登場しない点も原作との
大きな差異だ。彼女は物語のテーマに対して重要な
役割(幼い子どもが“死”を受け入れるきっかけ)
を担っているのだが、映画の尺に収めるのは
難しいと判断されたか。非常に残念だ。
実は映画版と原作にはもうひとつ大きな違いが
あるのだが、ややネタバレになりそうなので
念のため【余談】に記載する事にする。
...
まとめると、
悲惨な物語ではあるのだけれど、各エピソードや
心理描写は薄味で、B級ホラーっぽい雰囲気も強い。
なので、良く言えば重いテーマの割にはずいぶんと
気軽(?)に観られるホラー映画にはなっているかも。
……まあ、原作が悲惨過ぎるので僕が
そう感じてるだけかも知れないが。
ダウナーな雰囲気のホラーが好きな
自分としては、企画進行中というウワサの
リメイク版はもう少し原作に寄ってほしいなあ。
現在、リメイク版の監督は『28週後…』のファン・
カルロス・フレスナディージョが担当する予定とか。
冷徹で恐ろしい映画になるのではと個人的には期待。
<了> ※2014.05初投稿
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余談1:
ややネタバレかもなので未見の方はご注意を。
映画と原作との相違点について追記。
映画の回想シーンでは、
ジャドの飼い犬スポットは甦ってから凶暴に
なったように描写されていたが、原作では違う。
原作では、動作は鈍くなり、腐臭は放っていても、
ジャドに対して従順だった。
つまり、映画版の場合、呪われた土地に埋葬
されて甦った者は無条件に『邪悪な何か』に
乗っ取られた存在になってしまう描写である。
だが原作では、「本当に生き返らせる事ができるかも
知れない」という希望が僅かに残されているのだ。
これが原作の最も残酷な部分だと思う。
『微かな希望』という言葉は聞こえは良いが、
時にそれは人をとことんまで破滅に追い込む。
原作ラスト付近で主人公が放つ言葉は
泣きたくなるほどに恐ろしく、哀しい。
「この場合は違う。違うはずだとわかってる」
余談2:
リメイク版『ペット・セマタリー』が2019年4月に公開決定。
ただし監督はレビューに書いたF・C・フレスナディージョ
から変更され、オムニバスホラー『ホリデイズ』
の中の一篇を手掛けたデニス・ウィドマイヤー&
ケヴィン・コルシュが務めている。
正直彼らのその一篇は微妙な出来だったので不安だが、
予告編や、ジェイソン・クラーク、ジョン・リスゴー
といった主演陣には期待を煽られます。楽しみ。
呪われた土地に近づいてはいけない
スティーブン・キング原作のホラー映画です。
郊外に引っ越してきた主人公一家。
目の前の通りを大型トラックが頻繁に行き来するその場所には
ペットの墓地へと通じる小道がありました。
そのさらに奥にはインディアンの墓地が・・・。
そこは決して触れてはならない「呪われた土地」でした。
この映画はホラー映画ですけど、
実は「家族愛」や「親子愛」を描いた悲劇の物語だと僕は思います。
そういう意味で、この作品は他のホラーとは一線を画していると思います。
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