ヘカテのレビュー・感想・評価
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デジタルリマスター版 2回目
今度は、早稲田松竹にて鑑賞。(ダニエル・シュミット2本立て) デジタル・リマスター版は、昨年観て以来、2度目🎥✨ アフリカに赴任していた外交官の男が、クロチルドという女を回想するのだが、晩餐会でグラスに注がれたシャンパンの泡が、海を進む船の波しぶきに切り替わって、回想ドラマになる導入部は見事…✨ 印象的シーンは多々あるが、ポスターにもなっている後ろからの情事場面もそのひとつだが、イヤラシさは希薄。 「1942年 ベルン」と表記されて物語が始まる。 外交官ジュリアンは、以前アフリカで深い仲となった女クロチルドを回想している。彼女は人妻だったが、夫はシベリアで戦争していて夫婦の愛情は無い様子だった…。 男ジュリアンと女クロチルドは、すぐに深い仲となり、毎日のように情事にふけっていた。 ジュリアンは外交官の仕事もせずに…(笑) しかし、男は「クロチルドが何を考えているのか?」を知りたがり、「他に男がいるんじゃないか?」なども気になってしまう。まぁ、それほど「女に入れ込んでしまった男」ということなのだろうか。 ただ、途中、クロチルドには幼児性愛の趣味もあったらしく、男女の仲が険悪になったりする。ジュリアンは少年虐待が大使館に通報されるのだが、この虐待が単なるイジメなのか性的虐待なのかは明確に描かれていない。 そして、ジュリアンはアフリカに居られなくなるが、なんとなく昇進していく。更に、シベリアへ行って、クロチルドの夫とも会話する。夫は妻を全く愛していない。 <終盤の展開は割愛> なかなかモワッと描かれたところが多い映画。 ただ、デジタル・リマスター版なので画質は最高に良く、ローレン・ハットンという女優の起用も個人的には良かったのではないか…と思う。
外人部隊、モロッコ、カサブランカを足して3で割ってZEROを掛けた様な映画
成人映画だと思う。
去年、新宿で見たような気がする。だから、今回二度目だがよく覚えていない。二回目の鑑賞でその理由が分かった。
大半を寝ていたと思う。
『売春は許さん』『どんな?』
『奇妙な寒気を感じた。英語で誰かが私の墓の上を歩いた』
さて、この女性も売春婦なのだが、多分映画はその不条理を描いているのだと思う。
異邦人、外人部隊、モロッコ、カサブランカ等諸々の要素を利用して、宗主国になりそこねたフランスの憂鬱を描いている。1942年と言えば、フランス共和国は存在せず、ナチス・ドイツと傀儡政権が握っていた。つまり、一般のフランス国民はナチス・ドイツが嫌いなのでなく、イギリスにもドイツにも遅れを取るフランスに嫌気が指しているのである。この領事館職員はフランス人。原作はフランスなのだから。スイスが関係していれば、永世中立国、故に更に難しい立場のハズ。さて。
この男は何故ナーバスなのか?つまり、彼女の正体を知りたい事もさることながら、白人の女性が恋しいだけなのだ。つまりホームシック。女性はフランスへ変えれば、男に捨てられる事はわかっている。よく見れば分かるが、女性も男性も外見も中身も魅力の在る者達には見えない。
副の主題として、女性の売春に対する不合理を描いているのかもしれないが、フランス本国に今現在でも売春防止法なるものは存在しない。ドイツ、ベルギーなども同じである。女性の権利向上を願うなら、先ずは売春、回春、斡旋を含めて根絶すべきだ。
日本には売春防止法はあるが、現状はどうなのだろう。
さて、
1942年にベルリンにいる事の出来るフランス領事館主とはペタン元帥の手下。故に彼はファシストと言う事になる。映画の中にもベタンが出てきたような気がする。
『アルジェの戦い』の様な映画をフランス人は撮れないのだろうか?
ストール
原作はポール・モランの「ヘカテとその犬たち」(1954)
戦間期に国際管理地域だったタンジール(モロッコ)の
フランス領事館に赴任したロシェル(ジロドー)は
夜に咲く花のようなクロチルド(ハットン)に溺れてゆく
アフリカ北西部に位置する国々はアラビア語で〈マグレブ〉と呼ばれ
日が没するところの意
モロッコはその中でも最も西の果てにある国で
クロチルドの魔女や夜の女王、ヘカテというイメージにつながる
またムスリムの日没時の礼拝をさすらしく
夜の彼女にひれ伏す男の姿に重なるような
子供と親密な彼女を道徳的にゆるい彼でも
理性ではさすがに否定したようなのに
嫉妬にかられ、少年を暴行してしまう
領事館勤務の男が激情で、たがが外れてしまった瞬間で
教会やイギリス領事館に通報され、フランス本国からは左遷される
迷路のような市街地で見せられた子供たちは
東と西の交わった美しい顔をしていた
原作者はいわゆるフランスの上級国民で
外交官職を歴任し、広く旅行もしている
ヴィシー政権とナチスの協力者で
映画では上流階級の特権を享受するロシェルの姿に重ねているようだった
シベリアでは「フランスの二枚舌は続かないぞ」とか
「同じ犬に墓は暴かれる」とか言われている
第二次世界大戦中の1942年、ベルンで再会した時
ロシェルのクロチルドへの情熱は失せていた
異国で輝いて見えた女だったのか
フランスもタンジールに手が回らなくなる
原作者がイマジネーションを膨らませる作家であることも
上手く語られているような気がしました
ローレン・ハットンのストールのあしらいや
ガウンの着崩し方なんかが、やっぱり格好よかったです
普通の女ではああはいきません
職務放棄
赴任先での足りないものは情婦と余裕綽々な語り口、出会った女に狂わされ全ては嫉妬からくる被害妄想か、序盤とラストに1942年のベルンと表示され物語の中心になる場所は終盤にセリフで一度だけペルーだと分かる、男女の情事に耽る様子を上品で優雅なタッチで描かれる展開が続き後半から映像を含めて難解になる要素を感じながら、雰囲気がベルトルッチの『暗殺のオペラ』とは気のせいか?? ファスビンダーの『天使の影』を監督したダニエル・シュミット、そんな理由で難しく構えて鑑賞したが思いのほか観やすいメロドラマだった!?
かってに不倫していれば・・
元祖スーパーモデルで女優のローレン・ハットン(出演時39歳)が簡単に男に身を任せるくせに本心が読めない謎の女(クロチルド)を演じています、ヘカテはギリシャ神話の魔女のこと。
第二次大戦が勃発しようとナチスが台頭している血なまぐさい時期にアフリカのフランス領事館に赴任した外交官ロシェルがパーティで知り合った人妻クロチルドに職務そこのけでご執心、何が不満なのか分からないが思い通りにならないクロチルドに勝手に振り回される様を延々と描きます。不心得な外交官の不倫騒動など興味も湧かず、ヌードシーンも辞さないローレン・ハットンは熱演なのでしょうがただのおばさんにしか見えず、退屈な時間が流れるだけでした・・。
40年前の記憶をもとに
確か渋谷PARCO劇場で観た記憶。ダニエルシュミットが何たるやも知らず、ただお洒落な大人の映画てな認識で観た。モノクロだった様な気がするんだが、違うとしたら多分「カサブランカ」と混同しちゃってるのかも…自分の中では同じ空気感なんだ。 曖昧な記憶だが、好みの描写とエロティック…何よりもいっけん凛とした男が愛に狂ってしまう姿を見て、未知の大人の世界に踏み入れた感じがして。。「ベニスに死す」もこの頃観たけど、男女だったのでより感情移入したのかも。 今自分が人生終盤に差し掛かり、今観たらどんな風に感じるのか(でもDVDとか売ってないみたいで)。40年経ちこの思い入れ…という事は私には衝撃の名作だったのだろう。
とても面白い
舞台はモロッコ?異国感が隅々まで充満した画面で、典型的な、映画館の暗闇でどっぷり雰囲気に浸る為に作られた映画。見ている間、俗世の嫌なことを忘れることができる。 主演2人もとても美しいが、同僚のメガネおじさんも出立ちが素敵。いつも白いスーツ着てるが手入れが大変そう。あと秘書の人も可愛らしい。 主人公はテンパり始めてからの無能っぷり、余りにも度が過ぎる。その割には最後普通に出世してる感じがなんだかなー、となる。しかしそれも些事でしかなく、いい男っぷりが単純に楽しい。そしてローレンハットンをただ眺めていただけでスケベ心の元が十分とれた。
巷の評判は信用ならないの典型ですな。
巷では伝説的名作ということらしいが、主演の二人には殆ど魅力を感じることも無く「本当に名作かぁ?」という懐疑心もあり、特に期待もしてなかったのだが、映像美の方は何か良いものありそうだったので観てみた次第。
オープニングの晩餐シーンの流麗な流れからタイトルがアップされ、場面が一転して、真っ赤な救命浮き輪のクローズアップ(明らかに色欲に溺れる暗示)が映し出され、ディオールの白いスーツで主人公が現れるという、この一連の流れは意外に予想以上で「何気に傑作なのか?」と少し期待してしまったのだが…
結果としてはホントどうでもいい陳腐なメロドラマであった。
ただ、それはあくまでストーリー展開の方であって、予想通り冒頭からの映像は本当に素晴らしく名手レナート・ベルタの流麗なカメラワークは、まさに一流の職人技。どれも構図が素晴らしかった。ラウール・ヒメネスが担当した美術の方も本当に素晴らしく、画面に現れてくる見事な配色のアレンジが、これまた一流の職人技だった。
そしてカルロス・ダレッシオの音楽の方も、これまた素晴らしく良かった。
蓮實重彦が絶賛していたシーンも間違いなく名シーンで、白い壁に二人の美しいブルーの影が浮かび上がり、その直後に女のショールがバサっと階段に落ちて… そのまま情事に耽る男と女…
確かにあれを見るだけでも、この映画を観る価値があるとは言える。
し・か・し・だ!あまりにストーリーが陳腐すぎる。
あれなら20分くらいの短編にした方が、よっぽど良かった。
甘やかされ育てられたであろう良いトコの坊ちゃん風のダメダメな外交官が辺鄙な国に左遷させられ、女に対する未熟さゆえ、ただただ振り回される話なんか、ホントどうでもいい。
破滅型というほど奈落の底に堕ちていくような凄みがある訳でも無く、女の方もファムファタールというほどの魅力ある訳でも無く、演じたローレン・ハットンそのまんま、モデル崩れの「それ風」を演じている女にしか見えない。
「モロッコ」のオマージュもあったかと思うが、ファムファタール演じるなら、やはり、デートリッヒくらいの謎めいた雰囲気はないと。
ローレン・ハットンだとチョットどころか、だいぶ卑近な感じになってしまう。
ひょっとしたら、シュミットは、あえて捻くれた皮肉を込めて、卑近なイメージのファムファタールに、ストーリーの方も、あえて陳腐なメロドラマにしたのかもしれないが、もし実際そうなら、それこそホントどーでもいい企てだ。
そして、ローレン・ハットンといえば、インタビューでも、大のセックス好きを公言しているのだから(良くも悪くも、いかにもそんな顔だ)、絡みのシーンは全て本番で撮影すべきだったのだ。殆ど喘ぎ声さえ出さない不感症のような女の本性を知りたくて夢中になる設定より、やっぱり派手にスケべにヨガる肉食系の女に翻弄されてしまう方が「ヘカテ」のイメージにも合う。シュミットの趣味とは(ダジャレじゃないよ)合わないかもしれないが…
ともかくあの女では、ヘカテーいうほどの凄みが無い。
あと、オマージュといえば、あの少年がレイプされるシーン、あれは「アラビアのロレンス」のオマージュだろうが…
配給会社も映画館の方も、あの名作の(と一応は言われている)「アラビアのロレンス」でOKなら問題ないっしょ!と思ったかもしれないが、ああいうのは予めアナウンスは必要だろ。見たくないヤツは見たくないのだ!ということは、つくづく良〜く理解して欲しいところだ。
とまあ、色んな意味でダメダメな部分を含んだ映画だったが、あえてダメな映画を観たいという方、特に画面や音楽の方はバッチリ素晴らしいのに、ストーリーがダメダメな映画を観たいという奇特な方には、間違いなくオススメの一本だ。
映像美だけは堪能できた
美しい色彩感覚のポスターに惹かれて、映像美を見に行くつもりで見に行った。 ストーリーは期待していなかったが、予想通り何ということもなく、出会った美しい男女の会話も面白みがなく、もっと女性がはぐらかすなりウィットに富んだ、謎めいた会話があれば私も彼女の魅力にはまっていったのでしょうが、「何を考えている?」「何も。」ばかりでは、はぐらかす、と言うより何も考えていない馬鹿な女性に見えてしまって残念。 嫉妬に狂い始める美男の主人公の堕ちていくさまはよかったけれども、魔性の人妻役のローレン・ハットンはやはりアメリカ人女性のためか内側から醸し出す色気に欠けていて、昔の映画にありがちな、金髪で、ボディラインに沿うシルクの部屋着をまとっていて、横たわったり髪をかき上げたり、男性の監督から見て色っぽいと思われるような典型的な仕草や表情を指示されてやりましたという風で、若い男を狂わせるような女性の魅力を造形しきれていなかった。 どちらかというと、男っぽい顔立ちにメンズファッションが似合うサバサバした女性という雰囲気 なので、そういう役やモデルが似合う。 映像美だけは堪能できたという点で、2.5点。
誰のものにもならない女、でなくて、女は誰のものにもならないよ!そして前歯の問題
クープ型のシャンパングラスで幸福感に満たされ、ロシェ役のベルナール・ジロドーの細長くて美しい指にうっとりし、クロチルド(ローレン・ハットン)のウェーブのかかったちょうど良い長さの金髪と、体にぴったりで、背中が開いたシルクのドレスが、どこでもなくいつでもない場所に私を連れて行ってくれました。 赴任先、全てが揃っていて、ないのは情婦だけと(頭の中で)ほざいていたロシェ。若くて暇だから、美しく魅力的で謎めいて、相手に何も求めないクロチルドに出会って逢い引きの日々となるのは当然。なのに、自分の勝手な嫉妬と所有欲に絡め取られてしまいました。未熟です。その未熟な男も、クロチルドから離れてキャリアを積み昇進する。10年が過ぎ、ロシェは目元に皺もできて老ける。そして再会したクロチルドは、以前と変わらぬ若さと美しさ、ドレスの色が黒になりフランス語を話さなくなっただけ。 埃っぽい街も、いかにもアラブのモザイクタイルも、クロチルドの住む室内の壁の色も、すべてが濃厚で、観客ができることはただ見つめるだけ。思考放棄。 ベルナールはディオールのスーツを完璧に着こなしていた。後半のヘリンボーンのコートも失神するほどかっこよかった。クロチルドはドレスもボーダー柄のシャツも似合っていて、さすがモデル。二人の着こなし合戦は本当に素敵。それを引き立たせるためか、ロシェの上司も秘書のローズ=マリーもいつも同じ服だったけれど自然だった。 ひとつだけ。ワルツにのせないでください。笑ってしまう…。笑いながらってなんか萎えるというか、やってらんない!になるんじゃないのでしょうか? おまけ ハットンの前歯のちょうど真ん中に隙間があって気になって仕方なかった。でも知らなかった!フランスでは前歯の隙間は「幸運の歯」と言われているとさっき(2021.09.20.)知った!ショック!歯に関して日本人は八重歯や歯並びなど批判されますが、国や文化でいろいろなんだから気にしなくていいんじゃないか?前歯のすきっ歯、レア・セドゥにもあるなあ
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