ペーパー・チェイスのレビュー・感想・評価
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バカとブスこそ、ハーバードに行け! …みたいなノリを鵜呑みにするとこうなるぞ!
ハーバード・ロー・スクールに君臨する鬼教授キングスフィールドと、彼に認められようと足掻く学生ハートの対立を軸に描かれる青春映画。
第46回 アカデミー賞において、キングスフィールドを演じたジョン・ハウスマンが助演男優賞を受賞!
第31回 ゴールデングローブ賞において、ハウスマンが助演男優賞を受賞!
世界最高峰の高等教育機関ハーバード大学。その中でもトップに位置するのが、法曹養育機関である法科大学院(ロー・スクール)。
オバマ大統領をはじめとする、世界の政治・経済を動かす錚々たる顔ぶれが卒業している、まさに名門中の名門。
そんな想像を絶するエリート学校が舞台の学園青春映画なんだから、これは面白い筈だ!と思ったんだけど、うーむ…。
映画評論家の町山智浩さんが、2014年公開の映画『セッション』を紹介する時にこの作品を引き合いに出していた。
なる程、確かに構造は似ている。
厳格な鬼教師と、それに必死でついていこうとする学生。この2人が奏でるアンサンブルこそがこの映画の見所ではある。
この映画、せっかくハーバード・ロー・スクールという超人的な頭脳の持ち主が集まる大学院を舞台にしているのに、それをあまり活かせていない気がする。
映画のウェイトの多くを占めているのは、主人公ハートとキングスフィールドの娘スーザンの恋愛事情。
学園ドラマに恋愛はつきものだけど、ここはハーバード・ロー・スクールですよ。
もっと授業の苛烈さとかさ、テストの難しさとかさ、勉強に追い詰められていく学生の姿とかさ、そういうのが観たい訳ですよ。
恋愛なんてどの学園ものでも描けるのだから、ロー・スクールでしか描けないものにもっと重点を置いて欲しかった。
キングスフィールドの描き方も中途半端。ゲロを吐きたくなるほどのプレッシャーの持ち主にあんまり見えない。
というか、世界最高峰の学術機関の教授なんだからあのくらい厳しいのは当然でしょうに。
もっと常軌を逸した、それこそ『セッション』のフレッチャー教授くらいイっちゃってる人じゃないと、このドラマは成り立たない気がする。
本作で描かれる裏のテーマは「自意識過剰」。
あの教授は俺を嫌っている、と思い込むハート。
それに対して旧友のケヴィンは、ハートは教授のお気に入りなのだと思い込み、自分との差に悩む。
しかし、実は教授はどの生徒に対しても全く興味を持っていなかったということが、最後の最後に発覚するという大オチ。
このクライマックスは面白いですよね。
ある意味では凄く肩透かしなコメディ調なんだけど、反面凄く残酷でもある。一体なんのためにケヴィンは自殺未遂を起こしたんだ、っていうお話ですよね。
結局他人は他人。人は人に対してそこまでの興味を持っていないから、深刻に考えるだけバカバカしいよ、という教訓を2時間掛けてみっちりと教え込まれたような気がする。
劇伴を担当するのはジョン・ウィリアムズ大先生。本作でも凄いフィルムスコアが飛び出すのか!と思ったけど、かなり期待外れだった。
全体的に凄く静かな映画なので、特に印象に残る音楽も無し。めっちゃ眠くなりました。
凄く静かな作品だし、山場という山場はないし、物語は淡々と進むしで、正直かなりしんどい。
上品といえば上品だけど、はっきり言って退屈🥱
舞台設定が面白いだけに、かなりもったいないな、と感じてしまった。
後年、テレビドラマとしてシリーズからしたらしいが、確かにこれはテレビドラマ向けな内容の作品だと思います。
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