「イーストウッドの偉大なるアメリカと西部劇愛」ブロンコ・ビリー Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
イーストウッドの偉大なるアメリカと西部劇愛
総合60点 ( ストーリー:65点|キャスト:70点|演出:70点|ビジュアル:70点|音楽:65点 )
西部劇の人気がなくなっていった時代にイーストウッドが作ったのは、カントリーの流れる時代遅れな西部劇風の見世物一座の物語。その見世物の水準が寒いし盛り上がらないし登場人物たちは貧乏だしで、観ているこちらもかなり盛り下がった。金持ちだが家庭がひどくて不幸で性格がねじまがった女が加入した紆余曲折の後での前向きな彼らは、同じことをやっていてもずいぶんと雰囲気が変わって、生きることの喜びも将来の希望も見いだせていた。不幸を共有している彼らは幸せも作り出して共有していけるはずだ。
イーストウッドは西部劇でその成功への第一歩を踏み出した。その後は西部劇はどんどんと下火になって製作本数を減少していくが、この作品を観ていると彼の西部劇や西部開拓民への思い入れ、アメリカを作った人々の歴史への愛情が感じられた。「星条旗よ永遠なれ」が流れて全てアメリカ国旗で出来たテントの下での演目は、時代が変わっても西部開拓魂は死なないと宣言しているようだ。売れない貧乏旅芸人の生活を観ていると辛そうで自分も気が重くなるので個人的にあまり好きな主題ではないのだが、イーストウッドの愛情や思い入れが伝わってきた。
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