劇場公開日 2018年8月4日

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「【一夏の経験は少年を大人への一歩を踏み出させる。フランスの国民的作家、マルセル・パニョルの自伝的小説「少年時代」を、『わんぱく戦争』などの名匠、イヴ・ロベール監督が詩情豊かに映画化した作品。】」プロヴァンス物語 マルセルの夏 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【一夏の経験は少年を大人への一歩を踏み出させる。フランスの国民的作家、マルセル・パニョルの自伝的小説「少年時代」を、『わんぱく戦争』などの名匠、イヴ・ロベール監督が詩情豊かに映画化した作品。】

2024年1月29日
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鑑賞方法:VOD

楽しい

知的

幸せ

■お針子と、真面目な教師の間に生まれた少年・マルセルは、幼いうちから読み書きに秀でていた。
 やがて弟、そして妹も誕生し、パニョル一家は夏のヴァカンスを過ごすため、ローズ伯母とその夫・ジュール伯父が借りている丘陵の緑とセミの声に包まれた別荘に向かう。

◆感想

・観ていてとても気持ちの良い映画である。それは、聡明な少年がある夏休みに経験したことが、鮮やかに描かれているからである。

・プロヴァンスの豊かな自然を背景に、マルセル少年が子供が生まれる過程に疑問を抱いたり、誇りに思っていた父が、駆りの腕で伯父さんに劣る事をハラハラしながら観て居たり、弟の存在が何だが、疎ましく思う姿や、更に誕生した新たなる命をドキドキしながら観る姿。

■イキナリ、私事で恐縮であるが、私は小学一年の時から夏休み、冬休みには母の祖父母の家にほぼ休みの間、行っていた。
 東京駅で新幹線に乗り、(当時はサポートしてくれる優しいお姉さんが居た。運転席にも乗せて貰ったものである。)、祖父母のいる浜松で下車すると、初孫ということもあったのであろう、祖父母が満面の笑みで迎えてくれたモノである。
 特に夏休みは、私は祖父母の広大な家で王様の如く、我儘一杯に過ごしたモノである。
 祖父と相撲を取れば、百戦百勝であった。
 弟が出来てからは、彼を連れて一緒に言ったモノである。
 後年、祖父が亡くなった際に、その家を訪れたのであるが、幼児にとっては広大な敷地及び、家だと思っていたのが”こんなに小さな家だったのか!”と驚きと哀しみを感じた事は、今でも覚えている。
 だが、今作でも描かれているように、幼き時に豊かな休みを時間を過ごす事が如何に大切な事なのかを感じるのである。
 それは、幼き感受性豊かな子供にとっては貴重な時間だからだと思うからである。

<今作は、そのような幼き子供が夏休みを過ごす中で、微妙に大人同士の関係性や父に対する想いや、自分の幼き弟たちを持つ姿を、絶妙なタッチで描いた作品であると思うのである。>

NOBU