「自由を謳いアカデミー賞を狙い通りにゲットしたメル・ギブソン の凄み」ブレイブハート Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
自由を謳いアカデミー賞を狙い通りにゲットしたメル・ギブソン の凄み
メル・ギブソン 監督による1995年製作(178分)のアメリカ映画。原題:Braveheart
配給:20世紀フォックス映画、劇場公開日:1995年10月14日
史実とは多くの違いあるらしいが、スコットランド独立の英雄ウィリアム・ウォレス(1270年頃 - 1305年)に関する歴史的物語らしい。まあ、大傑作「ハクソーリッジ」と比べたら物足りないが、イングランドとの闘いの描写は迫力があって、かなり見応えはあった。
ただ、平和主義者だったが、幼馴染の恋人キャサリン・マコーマックがイングランド領主に惨殺されて復讐するという展開だが、先があまりに見え見えなせいか、或いはマコーマックに可愛いらしさの不足のせいか、戦いだす動機描写に、個人的にはあまり納得感はなかった。
とは言え、主演のメル・ギブソンの頭脳を駆使した戦さ上手は見ものであったし、怪力の幼馴染みで一緒に戦うブレンダン・グリーソンの戦いぶりも見事。何より、イングランド王子(後のエドワードII世)のもとに、フランス王室から嫁いだの嫁イザベラを演じるソフィー・マルソーの知的な美貌が素晴らしく、主人公と同じく魅せられてしまった。
映画のストーリーとは異なるが史実的には、この絶世の美女だったというイザベラ (1295年頃 - 1358年)は、旦那の王政を愛人と共にクーデターで倒し、15歳の息子エドワードIII世を傀儡の王とし、摂政として実権を握ったらしい。映画では、ウォレスの子供を身ごもったという物語となっていた。成る程、美貌や頭脳、そしてエドワードII世を裏切るという点では、史実通りの設定なのか。
後にスコットランド王となるロバート・ザ・ブルース(アンガス・マクファーデンが好演)をはじめ多くのスコットランドの貴族たちが、イングランドに調略されて、戦いの最中にウォレスを裏切るのが、関ヶ原の戦いの様で、何とも興味深かった。戦いに敗れたものの、何とか生き延びていた主人公メル・ギブソンだが、結局ロバート父の謀略によりイングランド軍に捕えられてしまう。
そして、エドワードへの臣従を拒むウォレスは公開処刑をされる。民衆はどれ程の苦しみを受けても屈しないウォレスの強さに心を打たれ慈悲を乞う。首を切り落とされる間際までスコットランド人の自由を叫びながら、息絶える。そして、亡くなったウォレスの意志を継ぎ、ロバート(ロバートI世)はイングランドと闘い、スコット独立を果たす。
祖国民の自由のために、命をかけて戦いぬく姿が何とも力強く米国的で、主演及び監督・制作のメル・ギブソンがアカデミー賞を獲得しにいっているギラギラした強烈なエネルギーを感じさせられた。反面、自分たちの自由獲得のために戦ったことがない日本人との大きな感性の違いも感じさせられた。
監督メル・ギブソン、製作メル・ギブソン、 アラン・ラッド・Jr. 、ブルース・デイビ
製作総指揮スティーブン・マケビティ、脚本ランダル・ウォレス、撮影ジョン・トール、美術トム・サンダース、衣装チャールズ・ノッド、編集スティーブン・ローゼンブラム、音楽
ジェームズ・ホーナー。
出演
メル・ギブソン、ソフィー・マルソー、パトリック・マクグーハン、キャサリン・マコーマック、ブレンダン・グリーソン、ジェームズ・コスモ、デビッド・オハラ。