「後が無い人間の覚悟」プレイス・イン・ザ・ハート 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)
後が無い人間の覚悟
夫に先立たれた女性が、残された子供二人を育て、借金返済まで行わなければいけない絶望的な状況が胸に迫る。自分だったら相当に焦って自棄になりそうだ。今まで夫の役割だと考えていた仕事や厳しい教育を、本当にこれで良いのだろうかと自問自答しながら試行錯誤して行っていく。綿花で稼げると聞いて、銀行員に否定されながらも開始して、手を血まみれにしながら長時間綿を摘む。そんな彼女の姿に、もう後は無い人間の本気を感じさせられた。同時に、自分が絶望的な状況だと思っていても、生きていく手段は様々であり、自分次第で人生は切り開けるのだと励まされる思いがした。
今作は女性、黒人、視覚障害者の共同生活を通じて、現代以上に社会的弱者だと考えられていた人々が、自分達なりに強く生きていくことをテーマにしているのだろう。立場の弱い人々が、それでも努力して現状を打開していく姿にはやはり感動する。
『クレイマー・クレイマー』のロバート・ベントン監督らしく、素晴らしいヒューマンドラマだった。
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