「エロスと生命力を突き詰めたドイツ的表現のグロテスクの魅力」ブリキの太鼓 Gustavさんの映画レビュー(感想・評価)
エロスと生命力を突き詰めたドイツ的表現のグロテスクの魅力
西ドイツ映画復活の話題の大作。3歳で自ら成長を止めたオスカル少年から見たドイツ史の中の人間のエロスと表現すべきか。異様にして不思議な生涯からは、美しさと毒々しさが混在した独特な詩情が漂い、これまでに経験のないドイツ映画の表情を持っている。突き詰めないと満足しないドイツ的実直さ、それによる表現力の大胆さ、そこに香るドイツの匂い。古典的色調のエレガントな色彩美。フォルカー・シュレンドルフ監督の割り切った演出。グロテスクな描写が淡々と流れゆく知的ユーモアが支配する映画の魅力。悪夢のようなドラマツルギーである。
1981年 4月21日 スバル座
コメントする