「兵士達の荒んだ心」プラトーン 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)
兵士達の荒んだ心
雨が降る中、体にまとわりつく虫を払いながら、ベトナムの密林を米兵達が進軍していく。蒸し暑さや汗で体がベトベトする不快感が映像から伝わってくる。命がけの銃撃戦もだが、彼らの感じる不快感からも戦争の過酷さが感じ取れた。冷戦に関する本で頻出するのがベトナム戦争だが、本ではあまり触れられない現場の様子を、リアルに描写している点で貴重な映画だと思う。
ベトナム戦争で戦う米兵達の多くは貧困家庭出身だとテイラーが言う。米軍のベトナムの農村における蛮行は、教育の不十分さや生活の余裕の無さ、そして従軍のストレスから来る彼らの荒んだ心を表していたように思う。テイラーは彼らとは異なり恵まれた環境で育ったようだ。しかし農村で頭に血がのぼり、障害者の農民に向けて銃を撃つ姿は、彼もまた従軍する中で余裕を無くし自分のことで精一杯になっているのだと感じた。
この農村で米兵達は農民に対する暴力、殺人、レイプを行う。彼らの蛮行を見ていると、一体何のために戦っているのかと思わされる光景だった。
コメントする