「戦場の狂気を描いた映画の中では、解りやすい良作。」プラトーン kazzさんの映画レビュー(感想・評価)
戦場の狂気を描いた映画の中では、解りやすい良作。
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午前十時の映画祭で、30年ぶりに観賞。
ベトナムで米兵は何をしたか…をオリバー・ストーンは描いたという。
戦場で行われた狂気の沙汰は、ベトナムでの米兵に限らず、繰り返されたこと。
日本兵も中国人や朝鮮人に同じような愚行をしでかしている(と、伝えられている)。
人間の愚かな本性なのだろう。
「地獄の黙示録」のような極端な狂気の世界ではなく、単純な、善悪の境を見失った男達とその一歩手前で踏みとどまった男達の物語で、解りやすい。
本来優しい目元をしたトム・ベレンジャーが顔に傷をつけて歴戦の勇士である凶行の曹長を、
強面のウィレム・デフォーがそれを制止する対立の曹長を演じる。
このキャスティングは逆転の発想のように感じた。
映画は過酷な戦場風景をリアルに淡々と描いているようで、
一人敵兵の側面に迫ったデフォー曹長をベレンジャー曹長が追う場面では、
サスペンス感溢れる緊張の演出が見られる。
そして、デフォー曹長の壮絶な最期がクライマックス以上に印象的な名シーンとなっている。
語り手役のチャーリー・シーンは、
とうとう自ら処刑を敢行する。
狂気のベレンジャー曹長は、多くの味方を救っている勇士でもあるのだ。
正義が存在しない戦場で、彼もまた殺人者となった。
「地獄の黙示録」でウィラード大尉を演じた父親のマーティン・シーンは、
やはり本編の語り手であり、カーツ大佐を暗殺する。
こちらは、そもそも暗殺することが指令だったのだが。
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