「衝撃受ける」プラトーン kkmxさんの映画レビュー(感想・評価)
衝撃受ける
小学生の時に鑑賞し、内容はよくわからないながらもたいへんな衝撃を受けた映画です。
午前十時の映画祭で上映されていたため、よい機会なので再鑑賞。成人してから観ても、十分に衝撃受けますね。
オリバー・ストーン監督の実体験を基にした映画とのことで、とてもリアルな映画だったと思います。真実のところはわかりませんが、細部にわたって生々しく、ベトナム戦争はこんな感じだったんだろうな、という雰囲気が伝わります。
リアルさは、人間関係にも出ているように思います。兵士全員が戦争に適応して狂ってるわけではなく、エリアスみたいに理性を保っている人もいる。村の焼き討ちのときは、もっと凄惨な結果になると思っていましたが、民間人を殺すと軍法会議にかけられる等、ブレーキをかける兵士の方が多く、それがリアルに思えました。民間人殺害で揉めるエリアスとバーンズ、レイプを咎めるテイラー、子どもたちを抱えて移動する兵士たち。バーンズみたいに狂わないと適応できない戦場で、ギリギリで人間性を保とうとする姿勢からは、人間が持つ粘り強さを感じます。
葛藤できるって高度ですよね。同じベトナム戦争映画でも、全員狂人の『地獄の黙示録』とは違う印象を受けます。あっちは、みんなアタマがやられちゃって誰も葛藤できない。
登場人物の行動も、しょうがないよね、無理もないよね、と思えるものばかりでした。バーンズはわかりやすい悪役ポジションですが、戦争に適応していけばああなるのも自然だと感じました。テイラーの終盤における決断も理解できますし。劇中のさまざまな行動が、「そうしちゃうよね」「せざるを得ないよね」と思えてしまうのが、リアルさにつながっているように感じます。
で、そんな風に思えてしまうことが、戦争を筆頭にした人為的に作られた異常な環境のヤバさなのでは、なんて考えています。
戦争モノはあれこれ考察するより、ヤバい体験を実感するほうが、私の場合は意味あることのように思えるため、ダラダラ考察はこの辺で。
すげー体験でした。
演者について。鑑賞前はチャーリー・シーンを見るたびに「マイポルノファミリー(笑)」とか思ってジワるのでは、と想像してましたが、ぜんぜん。物語の吸引力が凄いため、事前の不安(?)は杞憂でした。ジョニデはどこに出ているのかわからなかったです。