「観た 米国の悪夢の記録を」プラトーン CBさんの映画レビュー(感想・評価)
観た 米国の悪夢の記録を
ようやく観ました。
戦争は、いや戦場は人間を(俺たちを)たやすく悪魔にする。
さらに怖いことは、戦場においては、悪魔になった者をたやすく糾弾することはできない。
戦争というもの、戦場という環境は、そういうものなんだということを学ぶ。
経験していない以上、経験者から聞くしかないわけだが、こういう映画もその価値もあるのだろう。
特に本作は、前線での戦いにおいて、拠点を奪還したとか、どこかを守り抜いたといった、満足できる結果があるわけではなく、いったりきたりの、どちらかと言えば押され気味の戦いの毎日という「日常」があるだけ。主人公も、命令に応じてそこに参加し、負傷によって退場するだけ。
映画のストーリーとして勝ち負け的なカタルシスがあるわけではない。
それなのにこの120分をあっという間に感じるのは、自分ならどうするかという問いかけが、120分じゅう繰り返されるからだろう。
例えば、チームの規律と人間性のどちらが大切かという問いかけ。それがエライアスとバーンズの対立になっていくわけだが、この問いかけも簡単なことではない。なぜなら、戦場においては、それが「自分や仲間の死」あるいは「無実の他人を殺す」といったさまざまなリスクに直結するから。
そんな風に常に考えながら観ざるを得ない展開で、さらにそれが、暑い、眠い、疲れたの繰り返しの中で続く。そのため、観ているこちら側もまた十分な態勢で考えられるわけではない。この二重の意味で戦場の擬似体験になっている点が凄いと思った。
邦画では「野火」に感じたものと似ている。
さて、最後に出演者を比較的丁寧に紹介してくれたので、俳優陣がけっこう知ってる人たちだったとわかってよかった。
チャーリーシーンは言うまでもない。
エライアス:ウィリアムデフォー:ストリートオブファイアの敵親分レイヴェン!言われてみれば。
バーンズ:トム・ベレンジャー:新明日に向かって撃てのブッチキャシディ:気づかなかった。
ラーナー(ベトナム語を話す):ジョニーデップ!
フォレストウイテカー:ローグワンの黒くて髭の反乱軍戦士ソウ・ゲレラ
この作品を劇場で見た時の衝撃は忘れられません。
「戦争ってこんなもんなんだろうな」と思ったことを思い出します。
今も世界の複数の場所でこんなことが起こっているのでしょうね。
共感そしてコメントありがとうございます。
非常時とは言え「殺す」事が国の意志である・・・なんて、
やっぱり変ですね。
CBさんが書かれている
戦場においては悪魔になった者をたやすく糾弾出来ない。
バーンズは戦場では有能だと言う事で、重要に扱われるんですのね。
本当に戦争の常識に慣れていくクリスに、人は殺戮に慣れていくものと
驚きを覚えずにはいられませんでした。
コメントと共感をありがとうございました。
「この120分をあっという間に感じるのは、自分ならどうするかという問いかけが、120分じゅう繰り返されるからだろう。」「二重の意味で戦場の擬似体験になっている点が凄い」
本当にそうですね。自分自身の生き方を問われている気がします。
残虐さを、戦争の悲惨さを映し出す映画なら他にもたくさんありますが、人としての本質を問う映画として、決して色あせない作品ですね。特に、ウクライナーロシアのような愚行が繰り返される限り。
『野火』はまだ見ていないのですが、いずれは鑑賞したいと思います。
…補足です。
「 プライベート・ライアン 」へのコメントも頂き有難うございます。
こちらに返信をさせて頂きますね。
ロシアによるウクライナ侵攻が続いているからか、戦争に関する作品を多く放送して下さっているのかも知れませんね。
どちらの作品も見応えが有りましたが、個人的には兵士達の逡巡する姿が描かれていた「 プライベート・ライアン 」の方が人にお薦めしたくなる作品でした。
迷いもなく残虐行為が出来るという戦争というものの恐ろしさが「 プラトーン 」ではより強烈に描かれていたように思います。
CBさん
コメントを頂き有難うございます。
レビューに書いていらっしゃるように、邦画「 野火 」( 数年前にNHK-BSで放送での鑑賞。レビューは書いておりません。)もそうでしたが、戦場に佇んでいるかのような臨場感に息を潜め画面を注視しながらの鑑賞となりました。
やるせない気持ちになりますよね。。