劇場公開日 1988年11月12日

「お供の怪物3人組が好きだった」フライトナイト2 バンパイアの逆襲 盟吉津堂さんの映画レビュー(感想・評価)

2.5お供の怪物3人組が好きだった

2025年2月22日
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鑑賞方法:その他

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『フライトナイト』の1作目は80年代ホラーコメディーの名作と言われている(と、思う。たぶん)。
2011年にコリン・ファレルが吸血鬼を演じたリメイク作『フライトナイト/恐怖の夜』が作られているし、さらに2013年にも『フライトナイト2』が作られている。ちなみにこの『フライトナイト2』は未見なのだがオリジナル1作目の再リメイク版らしくて、本作のリメイクというわけではない。ややこしい。

上記いずれの作品も配信で視聴できるのだけど、この『フライトナイト2/バンパイヤの逆襲』だけは観ることができない。DVD化すらされておらず完全に忘れ去られている。

この作品が大好きだった自分としては悲しい限りであるが、じゃあBlu-rayで発売とかされたとしておまえは買うのか?と言われると、う〜ん、買わない(笑)。

それでも自分は学生時代にレンタルビデオで観たこの作品が大好きだった。下手をすると1作目より好きだった。
なぜなら怪物3人組が出ていたからである。

物語は、前作で吸血鬼ダンドリッジを倒してから3年の月日が流れ、平和な大学生活を送っている主人公チャーリーの前にダンドリッジの妹レジーンが復讐のために現れるというものである。

この妖艶な女吸血鬼がお供として引き連れているのが3人の怪物なのである。

あからさまなゲイ描写はないが、オカマっぽいファッションの無口な黒人吸血鬼ベル。80年代に流行していたローラースケートを履いているのが今観るとかなりダサい(笑)。
常にアッパー系のクスリでもやっているみたいに妙にテンションが高い陽気な中年狼男のロイ。
フランケンシュタインの怪物のようなイカつい風貌で道端の虫ばかり食べている虫喰い男のボズワース。なぜか虫を食べる時、必ずその学名を言ってから口に入れる(笑)。
ボズワースはフランケンというわけではないが、虫ばかり食べて生きる非人間的なイカつい筋肉男で、役どころとしてはやはりフランケンだ。

怪物3人組といったら、藤子不二雄Aの「怪物くん」の家来でおなじみの、ドラキュラ、狼男、フランケンであるが、これは欧米でも同じである。

戦前から戦時中にかけてユニバーサルが『魔人ドラキュラ』(1931) 、『フランケンシュタイン』(1931)、『狼男』(1941)を製作して、この3人の怪物のイメージをほぼ決定づけた。
以来、怪物3人組といったら欧米でもこの3人が定番なのだ。
アメリカにも『幽霊城のドボチョン一家』(1970)といった怪物3人組がメインキャラのTVアニメがある。最近ではCGアニメ映画の『モンスター・ホテル』(2012)などもそうだ。

ただ「怪物くん」や『ドボチョン一家』のように漫画やアニメで描かれやすいことからも分かるが、この3人組が全員登場する実写映画というのはいくらなんでも子供っぽいのである。
1944年に作られた『フランケンシュタインの館』という映画はモンスター総出演という触れ込みだったが、観客の失笑を買ったようである。
2004年に作られた『ヴァン・ヘルシング』もモンスター総出演で自分は大喜びだったけど続編は結局見送られてしまった。
むしろコメディ映画『凸凹フランケンシュタイン』(1948)やファミリー向けの『ドラキュリアン』(1987)なんかの方が評価が高い。

この映画も今になって考えれば、前作に比べてコメディ要素を少なくしたくせに怪物3人組なんかを出したせいで作品全体がチグハグというか、ユルユルになってしまったとも言える。
それでも自分はこの3人組が大好きだった。

劇中、この3人組が深夜のボーリング場を襲い、従業員を殺して3人だけでボーリングに興じるというシーンがある。
恐ろしくも楽しい血の饗宴。
狼男のロイは殺した従業員の生首をボールリターンから飛び出させるというイタズラをして虫喰い男ボズワースに悲鳴を上げさせる。
虫喰い男も自分だって怪物のくせに生首で悲鳴を上げるなよと思うが、3人ともキャッキャウフフしてて実に楽しそうだ。妻夫木聡が出てた夜マックCMのグロ・バージョンだ(笑)。

こういう映画のお決まりの展開で、終盤は吸血鬼との死闘が繰り広げられるわけだが、戦いの様子やレジーンの最期などぼんやりとしか記憶に残っていない。
そのくらい凡庸な展開だった。

一方で怪物3人組の最期は強烈に印象に残っている。特に虫喰い男ボズワースの最期は虫嫌い必見(?)の気色悪さだ。

ホラーコメディの名作だった1作目と比べるとホラー映画史になんの足跡も残さず完全に埋もれてしまった本作だが、怪物3人組が大好きだった自分にとって愛着のある1本。

監督のトミー・リー・ウォーレスの名誉のためにも付け加えておくが、彼はスティーブン・キングの小説『IT』をテレビドラマ化して成功させており、決してダメダメな監督というわけではない。

盟吉津堂
活動写真愛好家さんのコメント
2025年2月27日

私もこの作品は思い出深いです‼️公開当時、劇場に見に行きました。ヒロインのトレイシー・リンが大好きで、公開当時ロードショーとかスクリーンみたいな映画雑誌でかなり人気だったと思うんですが・・・‼️なぜソフト化されてないんでしょうね

活動写真愛好家