劇場公開日 1970年2月4日

「観終わって残る印象は、「バージニアウルフなんか怖くない」と似たものがあります」冬のライオン あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5観終わって残る印象は、「バージニアウルフなんか怖くない」と似たものがあります

2020年12月6日
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鑑賞方法:DVD/BD

もともとブロードウェイの演劇
それを映画にしたもの
だからかなり舞台劇ぽいです
しかしセットや野外ロケは映画らしくなっています
時は1183年のクリスマス
場所はフランスはパリの南西250キロのシノン城
お話はプランタジネット朝イングランド王国の初代国王ヘンリー2世とその王妃エレノアが、二人の3人の王子、愛妾アレース、フランス王フィリップを駒にして繰り広げるチェスのような権謀術数、裏の裏の裏を読みあう物語

当時のイングランドはヘンリー2世によって、イングランドのみならず、アイルランドの一部、そしてピレネー山脈に至る南フランスに広大な領土を獲得しており、後世に「アンジュー帝国」と呼ばれる時代

そう言った歴史を頭に入れてみると、興味を維持できると思います

これからどうなるのか?、三人の王子の誰が王位を継ぐのか?
それはまた歴史の本を読み返す楽しみにしましょう

本作はその歴史を背景に、ヘンリー2世と王妃エレノアとの夫婦の物語です
観終わって残る印象は、「バージニアウルフなんか怖くない」と似たものがあります

ピーター・オトゥールは、アラビアのロレンスやおしゃれ泥棒の時のようなスマートさはなく、正にヘンリー2世の姿として伝えられる猪首、大腹の姿になっています
熱演です

そしてエレノア王妃のキャサリン・ヘプバーンが彼に負けない名演技を見せて、正に名演合戦と化します

夫婦のなれの果て、行き着く先はこれかと、これから結婚しようという若い人には夢も希望もないテーマですが、結婚も長くなった方ならリアリティがありすぎて、身につまされることでしょう

あき240