冬のライオン
劇場公開日:1970年2月4日
解説
ヘンリー2世一族の複雑な家族関係を通して人間の権力欲、色あせた恋、陰謀などを描いた、舞台劇の映画化。監督は、これが監督第2作目のアンソニー・ハーヴェイ。自らの舞台劇を脚色したのはジェームズ・ゴールドマン、撮影はダグラス・スローカム、音楽は「華やかな情事」のジョン・バリー、編集はジョン・ブルームがそれぞれ担当。製作はマーティン・ポール、製作指揮はジョセフ・E・レビンが当っている。出演は、「チップス先生さようなら」のピーター・オトゥール、「招かれざる客」のキャサリン・ヘップバーンの二大スターのほかに、ジェーン・メロウ、ジョン・キャッスル、ティモシー・ダルトン、アンソニー・ホプキンズ、ナイジェル・テリー、「将軍たちの夜」のナイジェル・ストックなど。カラー、パナビジョン。1968年作品。
1968年製作/アメリカ
原題または英題:The Lion in Winter
配給:アブコ・エンバシー
劇場公開日:1970年2月4日
ストーリー
1183年のクリスマスも近い日。後継者問題で落着かぬ日々を送っているイギリス国王ヘンリー2 世(ピーター・オトゥール)は、忠臣マーシャル(ナイジェル・ストック)に命じ、例年のごとく一族--幽閉の身の王妃アキテーヌのエレナー(キャサリン・ヘップバーン)、長子リチャード(アンソニー・ホプキンズ)、次男ジェフリー(ジョン・キャッスル)、末子ジョン(ナイジェル・テリー)--を集めさせた。それぞれの野望に燃えるこの4人に加えて今年は、フランス国王フィリップ(ティモシー・ダルトン)とその姉で、王の愛人であるアレース(ジェーン・メロウ)が加わっていた。全員が集まるやいなや、ジョンを溺愛するヘンリーと、リチャードを嫡子であると主張するエレナーは口先の言葉にかくして互いの憎しみをぶつけあった。また、ジェフリーとフィリップはこの葛藤を利用して、漁夫の利を狙うべく、ひかえていた。そしてこの一族の有様に心悩ますアレースをよそに、王室一族の策謀はめまぐるしく変転。リチャードに愛情を押し売りし、それを盾にアキテーヌの領地返還をヘンリーに迫るエレナー。フィリップと組んで、王と王妃の排撃を計るジェフリーは、ジョンをも仲間に誘い込んでしまった。この茶番劇に失望したアレースは、皆をはげしくののしるが、そんな言葉が、ますます内紛に油をそそぐことになってしまった。問題解決の鍵を、フィリップとの同盟に求めたエレナーは、リチャードを彼の部屋に行かせた。政治家としての術策にたけるフィリップは、先にやって来ていたジェフリーとジョンをカーテンの陰にかくし、リチャードの背徳を二人に示した。そこへ現れたヘンリーは、フィリップの底意を知って、これをなじった。だが逆にフィリップは、リチャードの堕落ぶり、ジェフリーの裏切り、ジョンの不実をことごとく王の眼前に並べたてた。傷心の王は冬の冷気につつまれた屋上に出て、孤独をかみしめ、やがて、3人の息子を地下牢に閉じ込めてしまった。そして、求婚したアレースの求めで、ヘンリーは3人の息子を処刑するため、自ら地下牢へ入っていった。そこには、3人の息子の他に、危機を知って短剣をしのばせ3人を助けに来たエレナーがいた。剣を手にして向い合った親子。ヘンリーはリチャードを斬ろうと剣をふりかぶる。だが、ついにわが子を斬ることはできない。くず折れるヘンリーを残し、3人の息子はそれぞれの領地へもどって行った。そして、宮廷のクリスマスは終った。アレースが去り、再びソールズベリー塔に幽閉されるエレナーも、ヘンリーと、2人の奇妙な愛のかたちを確かめ合いながら。去っていった。あとには人生の冬を迎えたヘンリーが、ほえることを忘れたライオンのように、ひとり川辺にたたずんでいるのみであった。川面をそよ風が渡っていった。
スタッフ・キャスト
- 監督
- アンソニー・ハーベイ
- 脚本
- ジェームズ・ゴールドマン
- 原作
- ジェームズ・ゴールドマン
- 製作総指揮
- ジョセフ・E・レビン
- 製作
- マーティン・ポール
- 撮影
- ダグラス・スローカム
- 音楽
- ジョン・バリー
- 編集
- ジョン・ブルーム
受賞歴
第41回 アカデミー賞(1969年)
受賞
女優賞 | キャサリン・ヘプバーン |
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脚色賞 | ジェームズ・ゴールドマン |
作曲賞(ミュージカルを除く) | ジョン・バリー |
ノミネート
作品賞 | |
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監督賞 | アンソニー・ハーベイ |
男優賞 | ピーター・オトゥール |
衣装デザイン賞 | マーガレット・ファース |
第26回 ゴールデングローブ賞(1969年)
受賞
最優秀作品賞(ドラマ) | |
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最優秀主演男優賞(ドラマ) | ピーター・オトゥール |
ノミネート
最優秀主演女優賞(ドラマ) | キャサリン・ヘプバーン |
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最優秀助演女優賞 | ジェーン・メロウ |
最優秀監督賞 | アンソニー・ハーベイ |
最優秀脚本賞 | ジェームズ・ゴールドマン |
最優秀作曲賞 | ジョン・バリー |