「スキャンダラスな無鉄砲娘にワクワク」冬の旅 カールⅢ世さんの映画レビュー(感想・評価)
スキャンダラスな無鉄砲娘にワクワク
南フランスでヒッチハイカーが凍死したニュースをヒントにした実験的映画。
ヌーベルバーグの先駆者のアニエス・ヴァルダの劇映画の最高傑作と言われている本作。1985年ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞。
畑の側溝の死体から始まり、遡って目撃者や関わった者たちの証言の映像化に挑戦。
さすらう若いストレンジ・ウーマン。
17歳のサンドリーヌ・ボネールが主人公モネを演じる。
体格も良く大人びている。
四角顔のワシ鼻で顔つきもワイルド。まったく物怖じしない。
人に媚びない。
ふてぶてしいアウトロー。
ぶっきらぼうな仕草。
汚い爪、臭そうな体臭。
でも、そこがカッコいい。
しかし、魅力と脆さは紙一重。
過酷な運命が待ち構えていることはわかっているが、その過程を目撃することはじつにスリリング。
彼女のさすらいの目的や人生の価値観、信条はなんなのか? 果たしてそんなものがあるのか否か?
若い女性がひとりで放浪。
彼女が生きてゆくためのツールはその若い肉体と無鉄砲な危うさだけにも思える。トラブルに巻き込まれる確率は恐ろしく高いはず。
綱渡りのサバイバル。しかし、じつにあっけらかんとしていて、自暴自棄。
気になって仕方ない。
じつに、スキャンダラス。
女中のヨランダを演じるヨランダ・モローの独特の芝居がくさいけれども、おかしみがあって好き。
コメントする