劇場公開日 2022年11月5日

冬の旅のレビュー・感想・評価

全32件中、1~20件目を表示

4.0自由…。

2025年11月26日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

冬の旅――自由の果てにあるもの

1985年、アニエス・ヴァルダの『冬の旅』はベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞し、フランス国内で100万人を超える観客を動員した。
なぜこの作品は、当時のフランスでこれほど強い共鳴を呼んだのだろうか?

物語は、モナの死体発見から始まる。
彼女を記憶する人々は多く、証言を重ねながら、私たちは一人の若い女性の軌跡を辿る。
しかし、その証言には奇妙な共通点がある。
誰もがモナに「孤独」を見ているのだ。
だが、果たして彼女は本当に孤独だったのだろうか?

モナは大学を出て秘書官となったが、人に使われることを嫌い、社会を捨てた。
ヒッチハイクとキャンプ、ほとんど野宿に近い生活。
タバコ、大麻、水とパン、時には売春。
移動しながら求めるのは食料と寝所だけ。
目的も目標もない。そんな生き方は、自由の象徴なのか、それとも愚かさの証明なのか?

フランス人は本来、労働を嫌う――そんな言葉がある。
だが、1985年のフランス社会は経済成長の陰で若者の失業率が高く、「働くこと=生きること」への疑問が広がっていた。
モナの姿は、その疑問を極端な形で体現している。
中産階級的な安定への違和感、社会の冷淡さ、そして「自由への憧れとその代償」彼女の旅は、時代の不安を映す鏡だった。

しかし、モナの自由は純粋なものではない。
社会を捨てながら、社会に依存する稚拙さがある。
働く場所を与えられてもすぐに辞め、世話になった家から物を盗み、罪悪感もない。
身分証を持たないのは過去を捨てた証だろう。
だが、その選択は、太平洋を一人で渡るような無謀さに似ている。
頑固なのか、プライドなのか、考え方を変えないというのであれば、放浪に意味はない。

やがて、ワイン祭りの村で体中にワインを染み込まされたモナは、凍死する。
楽な生き方、楽しい方を選ぶ生き方は、人間社会では生きていけない――その事実を、彼女の死は突きつける。
モナは人生のディスカバリーの旅に出たのではない。
世を捨て、人を捨て、そして世間に捨てられるために旅に出たのだ。

2025年の私たちは、彼女に何を見たのだろう?
自由か、孤独か、それとも愚かさか?
モナには、憐れみを手向けることしかできないと感じた。

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R41

4.0夢も希望も捨ててしまった

2025年7月23日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

ついつい見入ってしまいました
人にはいろいろな欲求があります
多くの人が思うのは「自由」
自由って掴みどころがなく全てが自由なんてことはなかなかない、もしかしたらそれは不自由な事なのかもしれない
ある程度束縛されている方が自由への関心や欲求が強くなるものなのでしょうね
若い頃、あんなに自由だったのに日曜日に家から一歩も出ずにダラダラしていた事が今になってもったいなくて仕方がないです
モナは楽をして生きたいとも言っていたな
若さが言わせているのでしょうね
いい歳になると楽よりもやりたい事が出来てその為の時間が欲しくなるんです
放浪の旅ではなく羊飼いの彼が言っていたような旅だったのかも
だとしたらもうそれは「旅」ですらないような気がします
『イントゥ・ザ・ワイルド』の彼とは雲泥の差だ

しかしモナは何から逃げていたのだろう
そして最後には諦めてしまったのだ 全てを

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カルヴェロ

0.5フランス映画ぽい

2024年9月14日
スマートフォンから投稿

これはこういう意図なんだよと全てを自分の中で構築して満足する映画。
それがない場合ただ汚い女がウロウロしてる記録にすぎない。
評価が高いので観てみたが、自分はそういうタイプの映画は楽しめない。

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貝ひも

3.5【”漂泊”自由である事は孤独である事。孤独である事は自由である事。一人の少女の漂泊の果ての死への歩みをドキュメンタリータッチで描いた作品。】

2024年8月22日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

難しい

■冬の朝。フランスの田舎の葡萄畑の横の側溝で、モナという若い女の凍死体が発見される。
 警察はヒッチハイクで流浪していたモナのことを誤って転落した自然死として葬る。
 モナが路上で出会った人々の証言から、彼女が死に至るまでの数週間の足取りをたどる。

◆感想

・アニエス・ヴァルダ監督の作品は、数作であるが鑑賞して来たが、今作はナカナカに難解である。

・世間的には高い評価を受けた作品だそうであるが、エンタメ性は少なく、サンドリーヌ・ボネールが演じたモナも、可愛い顔をしているが、性格は可愛げが無い。

・”楽をして生きたい。”と平然と口にするし、モノは平気で盗み、金がないのに巻き煙草をスパスパ吸う。

・移動は、ヒッチハイクである。自分に色目を使う男には罵声を浴びせる。

■今作内で、モナを知る女性が頻繁に口にする言葉がある。”孤独”である。
 モナは、自由と引き換えに、孤独を抱えている。
 無軌道と言っても良い生き方をしている。

<今作は、自由と孤独の関係を考えさせられる作品だと思う。エンタメ性は少ないが、記憶に残る作品である。
 つまりは、秀作という事なのだろう、と思う。>

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NOBU

3.5見事な自業自得映画

2024年7月21日
Androidアプリから投稿

随所でモナが言う「楽して生きたいの」という言葉、若い頃はなぜかそう思うよね。私ももっと楽な楽しい人生があるんじゃないかって謎の希望を持っていました。道中で会う親切な人々を踏みにじるわけではないけど期待に応えない感じ、いかにも自由な若者の振る舞い。でも死んでまで追求する自由って何でしょう?結局は誠実に働いてつつましく生きるのが幸せだったりするんだよ、モナ。

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柴犬泣太郎

4.0どのシーンも美しい絵画

2024年7月9日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:その他

たくさんの美しい絵画をひとつ映画にしたような作品。

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ジュディ

1.0モロッコの出稼ぎの人達が同じ事やったら、どんな映画になる?

2024年7月5日
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鑑賞方法:VOD
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マサシ

4.5とても面白い

2023年5月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

よくこのような映画を作ろうと決めたものだ、すごい、と思った。普遍性が強く生じるような仕掛けになっており、彼女の過酷な道行きを映像表現として描く価値があると、作家として確信しているということなんだなあ、と。リアルに寒々しい風景と横移動撮影が目に焼きつく。
サンドリーヌ・ボネールはこの時まだ17、18歳くらいとのことだが、かなりアップでないと少女とわかリにくい感じ。ものすごく辛い目に合うが、真に迫っており胸が痛くなる。感電する教授は監督の心情を仮託しているのかと思う。
そして、肉食のヨーロッパ人の体臭は我々より遥かにキツイとよく聞くが、どの程度なのか非常に気になった。とはいえ「ポリエステル」みたいなオドラマ方式だったらと考えると恐ろしいが。

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どんぐり

3.5タイトルなし

2023年3月12日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
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ouosou

3.0ただ辛いだけ

2023年2月26日
Androidアプリから投稿

これは凄いですね。全編辛いだけ。そういう意味では1等賞です。

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michi

3.5その日食うのも困っているのに、食い物にありつけるとわかった否やお金...

2023年2月9日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

難しい

その日食うのも困っているのに、食い物にありつけるとわかった否やお金はジュークボックスへ
彼女にとって音楽は何だったんだろう
そこまでして手に入れたい自由とは何なのか
反逆、自由などの言葉だけでは埋まりきらない感情が残る

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3.5なぜ一人でさまよっているのか

2023年1月4日
iPhoneアプリから投稿

モナが亡くなる前、寒さに震えながら「お母さん…」とつぶやいてたこともあり、彼女がどうして「キャンプ」に出たのか、想像させてくれる描写でいいからほしかった。
こんな生き方をしたからあんな風に死ぬハメになりました、ではかなしい。

教授や畑仕事を世話してくれたモロッコ人など、臭くて我を通すとっつきにくいモナになぜか好意的な人も少数ながらいるのに対し、
教授の助手など徹底的に嫌う人、
羊飼いのように関わった結果軽蔑する人、
ヨランダのように嫌いになりきれず距離を置く人、がいて、
人間は2割に好かれ2割に嫌われ6割には何とも思われないという話を思い出した。

主人公の状況の類似からinto the wildを挙げる人もいるが、
あちらは目指すものが明確でそのために努力もしているのに対し、
モナは「楽したい」というのは一貫しているし、他人に媚びもしないものの、何を目指しているのか全く見えず、表現されたものだけから読み取ることもできず、
消化不良がある。

モナを語る人の中に「自由」で羨ましいと語る人もいたが、カチカチのパンをかじり、行きずりで関係を持ったり襲われたり、寒さに震えたり、
モナはひとつの場所にいないだけで、どこに行ってもいい反面、居場所がないということでもあるし、
モナは自由だ、とは描かれていなかったと思う。

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くー

3.5不思議な映画だった

2022年12月24日
iPhoneアプリから投稿

不思議な映画だった
主人公に同情させるでもなく、
どちらかというと、教訓的に進んでいく

自由を得るには、
引き換えに失うものが多いのだ

「WANDA」と鑑賞後感が似ていて、
どうにもならない人がどうにもならずに生きている

どうにかしたい、もなくて
ただ、どうにもならないことが続いていく

結局、社会なのかな
社会に混じれなかった人、
社会が混じることを許さなかった人、
そういう人を描く映画があることで
救われる人はいるんだと思う

実際、クリスマスイヴに観てる私とて
少しは救いになっている訳だし

とはいえ、ファーストシーンから衝撃的だし
ラストシーンだって悲劇でしかないですよ

個人的には、
教授と仲良くなっていく過程が見たかったりして。
それじゃ、ダメなんですよね

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JYARI

4.0凍死体となって見つかった少女モネ。 彼女はなぜ死んだのか、彼女と交...

2022年12月21日
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凍死体となって見つかった少女モネ。
彼女はなぜ死んだのか、彼女と交流した者たちの証言を通して描かれる。

キャンプといえば聞こえは良いがホームレス。
男性証言者たちのように危険、哀れに感じたが、
女性証言者のように自由に生きたことを羨ましがる視点もある。
不自由を被りながら死んだように生きるか、彼女のように刹那的だが自由に生きるか、人生はこんな両極端では無いが心に残る作品となった。

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いたかわ

3.5キリギリスが、正しく野垂れ死ぬ。

2022年12月19日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

監督・脚本のアニエス・バルダは1929年生まれ。1970年代の退廃した若者文化を、壮年期に横目で眺めた世代。

フランスの片田舎の農業地帯で凍死した女性の日常を、彼女と関係した人々、目撃した人々の証言で綴っていくと言う記録映画的な建付け。狙いは、この年代の生き方に対する、一般世間の評価に客観性を持たせること。

証言や関係性は多様を極めます。自由であることへの羨ましさを口にするもの。興味から始まり、一定の共感を抱いたり、惹かれたりするものもいます。自らの価値観を押し付けて施しをしようとするもの。働くことを教えようとするもの。一緒に自堕落の限りを尽くす同類。利用しようとするクズの中のクズ。

もうね。多様です。一般世間の評価の多様性を反映しています。

でですよ。

もうね。当の本人と来たら、ボロボロのクズっぷりです。
楽して生きようとして、実際の享楽的な生活を送った女の子が、キリギリスの如く冬の農地で野垂れ死ぬ。全く同情の念が湧きません。哀れだと思いますし、少しは助けたくなるけれど。これは、どーもならん。

要するに、冷ややかな視線以外に感じるものが無い。
自由さや率直さと言う魅力はあっても、現実世界で生きて行くために必要な事は、他にあるし、それをおざなりにしたり他人任せにするってのは、明確に間違いだよ。って言う映画。

にしても、1985年製作でこの音楽はナシ。って、ずーっと思ってましたが、70年代に流行りながら完全に廃れた非音楽的な和声と旋律を、敢えて使ったのだと考えたりした。

冒頭はつまらなかったんですけど、途中、作者の意図が伝わって来てからは面白かったです。

今も、こんな若者、一定数は日本にもいますけどね。と言うか、古代から、いたんでしょうねぇ。様態は違えども。って思った次第です。

興味深かった。
とっても。

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bloodtrail

4.5内臓に寒さが染み渡る

2022年12月17日
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鑑賞方法:映画館

とある若い女性の最期の二週間を振り返り、時に彼女と出会った人のインタビューも交えるなどして描かれたドラマ。彼女のフィクショナルなドキュメンタリー。

冒頭からガツンとやられるのだが、進むにつれやるせなさがどんどん募ってきて、鑑賞後もずっと、静かに自分の中で色んな感情が重くのしかかる。出てくるキャラクターはいちいちリアル。思い出すにも気が重いが本当に見て良かった。良い映画。

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みき

4.5アニエスの矜持たるや素晴らしい

2022年12月15日
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鑑賞方法:映画館

Me Tooや人権の運動がここまでになったのも、バルダ監督等のちからが生きている。
その証拠に主人公の彼女がたとえ農地の中での垂れ死にだったとしても、この世に自
由や平等を上げる声は確実に根づきつつあり、決して哀れな女性の末路ではないから・・

ここ最近の女性監督の躍進もそのながれです。確実です

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ソルト

5.0自由ということの不自由さ

2022年12月12日
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redir

3.5そんなかっこいいもんじゃない。

2022年12月11日
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鑑賞方法:映画館

1985年金獅子賞受賞作のリバイバル上映。この時代のフランスとは一体どんな社会だったのだろうかとやや不安になる内容。

畑の側溝で発見された若い女性の凍死体。彼女は何故ここで命を落としたのか。彼女と関わった人々の言葉と共にここまでの道程を追ってゆく。

楽して生きたいと言う割に誰よりも困難な生き方をしているように見える。そもそも何故この若さで放浪しているのかが謎過ぎる。わがままで性格も悪い。共感も同情もできずにモヤモヤするばかりだった。この時代はこんな女性像がある種英雄視されたのだろうか。原題は「屋根も法もなく」らしいけど、法に逆らうことが必ずしも信念を持っていることとイコールではないと思う。少なくとも彼女のはただの堕落でしょう。死に方は可哀想だったけどね。

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はるたろう

2.0これは私には合わない作品でした。

2022年12月10日
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鑑賞方法:映画館

これは私には合わない作品でした。

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