劇場公開日 2022年9月2日

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「ジャン・ギャバンとジャン=ポール・ベルモンドだぞ」冬の猿 ゆみありさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ジャン・ギャバンとジャン=ポール・ベルモンドだぞ

2022年9月17日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

萌える

若い頃の思い出に浸ることは誰にだってある。そこからなかなか脱け出せなくて苦しくなることもある。若い人の中に昔の自分を見つけて懐かしくなったり、時間を共有することで癒されたりするということもある。その若い人が人生とうまく折り合いをつけられていないとすれば、そっと寄り添ってみたくもなるだろう。そんな初老の男をジャン・ギャバンが演じ、若い男をジャン=ポール・ベルモンドが演じている。
街の外れの修道院にいる娘を引き取りにきた若い男は別れた妻にまだ未練があり、スペインで闘牛士をしていた過去が忘れられない。酔っぱらって酒場で大騒ぎをしたり、通行するクルマを相手に闘牛士のまねごとをしたり、周りの普通に生きている人達からは困った余所者として顰蹙を買う。そんな若い男に、投宿していたホテルの主人である初老の男が寄り添う。話を聞いてやったり慰めるというのではなく、行動をともにするのだ。酒場で大酒を食らって喧嘩をしたり、冬の海岸で大花火を何発もぶっぱなしたり。
最後に若い男は修道院から無事娘を引き取ることができ故郷に帰っていく。
中国の故事に"冬に街に降りてきた猿をもてなし森に返してやる"というのがあるそうだ。ベルモンドはまさしくこの冬の猿なのだ。
60年前のモノクロフィルムのなかで、伝説的二人の名優が素晴らしい演技を魅せてくれます。

ゆみあり