舞台恐怖症のレビュー・感想・評価
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現代の感覚から見ても楽しい、面白みがたっぷり詰まった娯楽作
この思わせぶりなタイトルから、てっきり舞台に上がるのが怖い女優のお話なのだと思い込んでいた。ヒッチコック作品の中でもそれほど話題に上がることがないので凡作なのかな、と。ところが、とんでもない。本作は冒頭から常識をひっくり返す仕掛けに満ちていて(これは後からわかることなのだが)、現代の感覚で見ても「新しい!」と絶賛せずにいられない。まだ演劇学校で学ぶ新進女優でもあるヒロインの「人物になりきる」得意技をちりばめつつ、バラエティあふれる登場人物とのやりとりとベテラン女優(ディートリヒ)との対決、さらに劇場空間を駆使したクライマックスの盛り上がりもお見事と言うほかない。ところが当のヒッチコックは本作を過小評価していて、様々な仕掛けに関しても「やるべきではなかった」とコメント。いえいえ、あなたが時代の二歩先を行っていただけですよ、とフォローしたくなる。見て損はない、面白みのたっぷり詰まった娯楽作だ。
ストーリーをどう評価するのか?
出入りの激しいサスペンスと捉えるか? 梯子を外されたような陳腐なサスペンスと捉えるか? どちらにしても、ヒッチの独壇場であるはずのサスペンスを、映像ではなくセリフで説明してしまったところはヒッチらしさがありません。 ヒッチ自身も自分に向かない本格推理に手を出してしまった、とトリュフォー先輩に説明しています。なによりも「嘘の回想」を採り入れたことは観客の怒りを買ったハズだと反省もしています。 ディートリヒ先輩の化け物並みの存在感は、画面を通して風圧を感じます。 ヒッチの作品で自由に振舞って、好きなことが言える唯一の女優だそうです。
ロンドンのディートリヒ
Amazonプライムで鑑賞。ディートリヒ強化月間(自主練)。 ヒロインが女優なので、事件解決のために別人になりすます、という仕掛けがワクワクするし、父とのコンビもよかった。 ハリウッドからロンドンに出張してきたディートリヒが大物舞台女優役を演じている。 このところ見てきた30年代の作品とは比較にならない複雑な人物配置をなんなく紹介していくので、やっぱりヒッチコックは人間性はともかく腕はピカイチだと痛感させられました。 ヒロインのパパも魅力的だし、父と娘のバディものって新鮮でいいなあ。 なによりまず「刑事でもない普通の女の子が別人になりすまして潜入する」ことのスリリングさ。二重生活もののワクワク感は異常。 アレンジして現代のキャストでたとえば2時間ドラマとか、いくらでも作れそうな企画そのものの強さがある。 あんまり複雑にし過ぎて後半はやや収拾つかなくなった感もあるしタイトルに偽りありだけど、ディートリヒも含めてとにかく女優たちが輝いていました。そしてヒロインが恋に落ちるくだりも安定のロマンチックさ。。ヒッチコックが演出してると思うと腹立たしいくらい。
デートリッヒの歌声も素敵だし、ワイマンや父親の会話もテンポよく、作...
デートリッヒの歌声も素敵だし、ワイマンや父親の会話もテンポよく、作品としてはよかったと思う。ただ、ヒッチコックのサスペンス映画の仕上がりとして少し物足りなかった。
ヒッチコックらしさが溢れています
題名の舞台恐怖症は、中盤のガーデンパーティのステージで起こる なかなかの名シーン マレーネ・ディートリヒとジェーン・ワイマン どちらもヒッチコックが好きそうな女優 前者はクールビューティそのもの 後者は初々しく処女性が輝いている 足して2で割った女性がヒッチコックの理想なのだろう 二人の女性の対比は、ジョナサンとスミスの対比に相似形として展開される ユーモアもしっかり挟んで英国での撮影を楽しんでいるのが伝わってくる そのユーモアは配役に及んでおり、シャーロットのメイドのネリイーやガーデンパーティの射的の屋台のおばさんなどオーバー気味な役作りで出演させています マレーネ・ディートリヒの舞台シーンはさすがだが、それよりも楽屋などでの高慢で高飛車な女性そのもので素でもこうだったのではと思わせるほど 終盤のカメラを見上げるアップの独白は圧巻 印象にいつまでも残るシーンだ イブのお父さんが素晴らしい名演技をみせる アラステア・シムと言う役者だそうだが 彼の存在で本作は随分引き締まり助かっている
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