舞台恐怖症のレビュー・感想・評価
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現代の感覚から見ても楽しい、面白みがたっぷり詰まった娯楽作
この思わせぶりなタイトルから、てっきり舞台に上がるのが怖い女優のお話なのだと思い込んでいた。ヒッチコック作品の中でもそれほど話題に上がることがないので凡作なのかな、と。ところが、とんでもない。本作は冒頭から常識をひっくり返す仕掛けに満ちていて(これは後からわかることなのだが)、現代の感覚で見ても「新しい!」と絶賛せずにいられない。まだ演劇学校で学ぶ新進女優でもあるヒロインの「人物になりきる」得意技をちりばめつつ、バラエティあふれる登場人物とのやりとりとベテラン女優(ディートリヒ)との対決、さらに劇場空間を駆使したクライマックスの盛り上がりもお見事と言うほかない。ところが当のヒッチコックは本作を過小評価していて、様々な仕掛けに関しても「やるべきではなかった」とコメント。いえいえ、あなたが時代の二歩先を行っていただけですよ、とフォローしたくなる。見て損はない、面白みのたっぷり詰まった娯楽作だ。
君はヒッチのメッセージに気がついたか?
この映画は今一つ しっくり来なかった。 なんでメイドのふりをしているのか? とか 何でメイドのふりをしているのがバレたらやばいの?とかピンと来なかった。そこのスリルが監督のやりたかったところだと思うんだけどね。ちょっと話が複雑すぎたかと思う。まず、この男は主役のくせに浮気していて二股かけとんのかと唖然。 次に この女のコの方も二股かけようというのか??? 映画ってのは小説と違って途中であんまり推理に集中することができない。だからちょっと複雑にすると複雑すぎちゃうんだよね。
この作品で特筆すべきなのはパパの存在であろう。この年頃の女性はパパと接するのを嫌がるのであるが主人公はそうではない。なぜならパパとママが永く別居してるからだ。そしてパパは 人里離れた海辺に住んでいる。彼はまるで不思議の国の人物のように描かれている。見た目がとても怪しげだから「超怪しいけど無条件に信頼できる初老の男性」になっている。ヒッチコック作品には そういった人物がたびたび 登場する。それはきっとヒッチコックの深層心理に住んでいる理想の人物であろう・・さて・・
終盤に来て話がしっかり見えてくると面白くなってきた。そして冒頭の非常に気になっていたカットのことが思い出されるんだな。あなたは気がついたかな?ドアが閉まるところでドアが写っていないのに閉まる音だけがしていた。あれは伏線なんですよね。トリック はこうですよ・・という。叙述トリック ですよ・・というサイン。そのことがわかっていて終盤の犯人の独白 シーンに差し掛かると「やっぱりそうなんですね」っていうヒッチとの無言の会話のようなものを楽しめた。そして面白いなってのが倍加した。まぁ終わってみれば面白かったかな。そしてそれにつけてもヒッチコックの映画はいつも女優が良い。ジェーン・ワイマン、俺も好みだわ。
ストーリーをどう評価するのか?
出入りの激しいサスペンスと捉えるか?
梯子を外されたような陳腐なサスペンスと捉えるか?
どちらにしても、ヒッチの独壇場であるはずのサスペンスを、映像ではなくセリフで説明してしまったところはヒッチらしさがありません。
ヒッチ自身も自分に向かない本格推理に手を出してしまった、とトリュフォー先輩に説明しています。なによりも「嘘の回想」を採り入れたことは観客の怒りを買ったハズだと反省もしています。
ディートリヒ先輩の化け物並みの存在感は、画面を通して風圧を感じます。
ヒッチの作品で自由に振舞って、好きなことが言える唯一の女優だそうです。
シャレードはこの映画をリスペクトしている。 ベタなミステリーだが、...
シャレードはこの映画をリスペクトしている。
ベタなミステリーだが、鏡に写る姿もワンショットで作り上げる計算。
演出家だけでなく、カメラ監督のようでもある。
ロンドンのディートリヒ
Amazonプライムで鑑賞。ディートリヒ強化月間(自主練)。
ヒロインが女優なので、事件解決のために別人になりすます、という仕掛けがワクワクするし、父とのコンビもよかった。
ハリウッドからロンドンに出張してきたディートリヒが大物舞台女優役を演じている。
このところ見てきた30年代の作品とは比較にならない複雑な人物配置をなんなく紹介していくので、やっぱりヒッチコックは人間性はともかく腕はピカイチだと痛感させられました。
ヒロインのパパも魅力的だし、父と娘のバディものって新鮮でいいなあ。
なによりまず「刑事でもない普通の女の子が別人になりすまして潜入する」ことのスリリングさ。二重生活もののワクワク感は異常。
アレンジして現代のキャストでたとえば2時間ドラマとか、いくらでも作れそうな企画そのものの強さがある。
あんまり複雑にし過ぎて後半はやや収拾つかなくなった感もあるしタイトルに偽りありだけど、ディートリヒも含めてとにかく女優たちが輝いていました。そしてヒロインが恋に落ちるくだりも安定のロマンチックさ。。ヒッチコックが演出してると思うと腹立たしいくらい。
デートリッヒの歌声も素敵だし、ワイマンや父親の会話もテンポよく、作...
デートリッヒの歌声も素敵だし、ワイマンや父親の会話もテンポよく、作品としてはよかったと思う。ただ、ヒッチコックのサスペンス映画の仕上がりとして少し物足りなかった。
女優たち
展開に やや、問題があるが 楽しめた
女優として、イヴ(ワイマン)は 駆け出しであるが、
シャーロット(ディートリッヒ)は 玄人そのもの
イヴは感情的に混乱する上に、
嘘の数では シャーロットを かなり上回る
(目くらましの役でもある)
ディートリッヒ、この時 49才
活躍の場を 映画から舞台(ショー)に移し、
歌に重点を 置き始めた頃
美脚も健在!
喪服の仮縫い(ウィンクして オバサン達を懐柔)から、黒のネグリジェに着替え、美しい横顔を見せつけながら 刑事に応対する 一連の動き!
(彼女の衣裳だけ ディオール… )
(咳 ひとつで、質問を終わらせる… )
女優の仕事が 嘘つきで、騙しのプロであることも
実感させられる
ジョナサンだけでなく、イヴに心を寄せる スミス刑事でさえ、シャーロットを「劇的なタイプ」と言い、
イヴは「女優に見えない」などと のたまうのである
物語的には イヴ(または ドリス)の
「一世一代の大芝居」での解決であるが、
映像的には ディートリッヒの存在感が
圧倒的であった
照明、カメラの腕のふるい甲斐のある女優なんだろうな… と思いながら観ていたが、スタンバーグから
光と影の使い方、アングル、など学習しちゃった彼女が 色々、注文つけたらしい… (ヒッチコック黙認)
ワイマン、コメディエンヌ振りも発揮してるが、
大御所の本領発揮、やりにくかったかも…
なお、嫌味な付き人 ネイリーを ケイ・ウォルシュが
演じており… やっぱり騙された…
(本当は 美女なんです… )
ヒッチコックらしさが溢れています
題名の舞台恐怖症は、中盤のガーデンパーティのステージで起こる
なかなかの名シーン
マレーネ・ディートリヒとジェーン・ワイマン
どちらもヒッチコックが好きそうな女優
前者はクールビューティそのもの
後者は初々しく処女性が輝いている
足して2で割った女性がヒッチコックの理想なのだろう
二人の女性の対比は、ジョナサンとスミスの対比に相似形として展開される
ユーモアもしっかり挟んで英国での撮影を楽しんでいるのが伝わってくる
そのユーモアは配役に及んでおり、シャーロットのメイドのネリイーやガーデンパーティの射的の屋台のおばさんなどオーバー気味な役作りで出演させています
マレーネ・ディートリヒの舞台シーンはさすがだが、それよりも楽屋などでの高慢で高飛車な女性そのもので素でもこうだったのではと思わせるほど
終盤のカメラを見上げるアップの独白は圧巻
印象にいつまでも残るシーンだ
イブのお父さんが素晴らしい名演技をみせる
アラステア・シムと言う役者だそうだが
彼の存在で本作は随分引き締まり助かっている
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