「大丈夫なの?——ソビエト親父たちの昆虫演技」不思議惑星キン・ザ・ザ かせさんさんの映画レビュー(感想・評価)
大丈夫なの?——ソビエト親父たちの昆虫演技
製作されたソビエト連邦本国で人気爆発したナンセンスSF映画。
【ストーリー】
キン・ザ・ザと呼ばれる惑星に瞬間移動させられた二人の男が、その数まばらな現地人とまったり交流しつつ、地球へ帰る手段を模索する。
ロシア映画そのものが異世界交流に近い文化の差があるんですが、ギャグとなると、最初はどこで笑っていいのか見当もつきません。
それでもロシア人のおっちゃんたちが昆虫の求愛行動みたいなポーズしながら「クー!」とさけぶ序盤から、二人の鼻にちいさいカウベルみたいなのをつけられて意思の疎通ができるようになった中盤、そしてやっと話が展開する終盤へと、理解がすすむたびにこの作品への愛もジワジワ高まってきます。
最初は困惑しかなかったんですが、時間とともにロシアンギャグがジワジワしみ込んできて、後半はなにやられても変なツボに入って笑ってしまう状態に。
「もうなんなのこれ、こんな変な映像で笑いたくない!」
と抵抗するも、負けてしまうヘンテコさ。
ナンセンスさがきもちよくなってくる開放感は、砂漠という舞台ゆえかも。
ロシアの街並みで同じやり取りされたら息苦しいだけですけど、空の広い空間だと何だかウホッと楽しくなってくる。
80〜90年代まで貧困と抑圧に耐えていた旧ソ連人たちも、この黄土色の画面に何らかの救いを見出したのかも。
なんてかなり失敬な見解をいじくり回してみたりしてました。
もうとにかく世界観が異常すぎて、俳優の演技について細かく語る気力もわきません。
ストーリーもナンセンスだから何かの欲求を満足させてはくれません。
それでも、こんな変な映画なのに、世界観だけは強固に作られてます。そこがいい。
テンションの低いもの悲しさと、乾いた妙なおかしみが全編に横溢してます。
吉田戦車とか好きな人には理解できるかなあ。
映画に知性や理知を求める人は、楽しめないかもしれません。
この映画を誰と見たいか、とか、誰に薦めればいいのか、とかはまったく思いつきません。
あなたが映画ファンで、トイレに流しても惜しくない2時間15分が空いたなら、自分試しにどうぞ。
なんだこの推薦文。
共感&コメントありがとうございます〜!
イン薄で大変失礼しました。
いや、推薦文、めちゃくちゃ良いじゃないですか(笑)
一周回って真に知性的な人には絶対ウケると思います〜。
偏差値偏重系じゃなくて知を愛する頭の柔らかい人々には是非観て欲しいですよねwww